おたふくワクチンが不足~接種のメリットと今後の動向について~
子どもがかかりやすい感染症の1つとして有名な「おたふく風邪」は、国の定期接種ではないものの任意でワクチン接種を受けることができる病気です。
しかし、現在国内のワクチン製造工場のトラブルにより、おたふくワクチンが不足してしまい、一時的に接種を中止している医療機関もあるというのをご存知でしょうか?
そこで今回は、おたふくという病気について触れながら、ワクチン接種の意義と今後の接種動向についてご紹介します。
4歳以下は要注意
一般的に「おたふく」という名で知られていますが、正式には流行性耳下腺炎と呼びます。
耳の前から下にかけて存在する耳下腺と顎の下に位置する顎下腺が腫れて、痛みと熱が発生します。
ムンプスウイルスという非常に感染力の強いウイルスが原因で、幼児から小学校低学年くらいの子どもがかかりやすい病気です。
感染している人との感染や、くしゃみなどの飛沫によって感染するので、学校などで流行しやすく、年間を通して感染する可能性があります。
感染しても子どもの場合は軽症で済むと言われていますが、合併症を引き起こして後遺症が残ってしまうケースもあるため、特に感染しやすい4歳以下の子どもは注意が必要です。
ワクチン接種は任意
おたふくかぜに効果的な特効薬や治療法は、現時点で存在していません。
そのため、最も有効的な対策はワクチン接種と考えられています。
おたふくワクチンは1歳以降に接種が可能ですが、国が接種を義務化している定期接種ではなく、自身や親が接種可否を判断する任意接種の対象になっているため、自己負担でワクチンを接種することになります。
中には、おたふくワクチン接種費用を公費で助成してくれる自治体もあるので、気になる場合は問い合わせてみましょう。
不確かな情報に惑わされないで
日本小児科学会では1歳時に1回目、小学校入学前に2回目のワクチン接種を推奨しています。
しかし、日本でおたふくワクチンを製造しているのはわずか2社であり、今回その内の1社の工場でトラブルが発生したため、2021年秋頃まではワクチン不足の状況が予想されます。
現在確保されている供給分については、2021年5月末までに在庫切れになる見込みです。
もちろん、もう1つの製造会社では不足分を補うために出荷ペースや供給地域を調整するとのことですが、半年程度はワクチン不足の状態が続くと予想されます。
こうした状況に不安を感じて色々な情報を検索してしまうのが親心ですが、不確かな情報に惑わされないよう注意しましょう。
今後は日本小児科学会を始め、NPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」のホームページなどでも情報が発信されていく予定です。
落ち着いて正しい情報を集め、今後の動向をチェックしましょう。
参考URL
『ドクターズファイル』https://doctorsfile.jp/medication/326/
『VPDを知って子どもを守ろう』https://www.know-vpd.jp/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子