食物アレルギーと学校生活~子どもの命とQOLを守るために~
食物アレルギーを持つ子どもの数は年々増えてきており、家での食事や外出時に注意しているという親御さんも多いはず。
しかし、中には学校などで重大なショック症状を起こすアナフィラキシーに見舞われる子どもも多く、親の目が届かない時にどのような対策をしておくべきかが重要です。
そこで今回は、入学時や進学時に改めて気を付けておきたい食物アレルギーへの対応や、子どもを守るために学校側へお願いしたいことなどをご紹介します。
アナフィラキシーは初期対応が鍵に
食物アレルギーの中でも食べてからすぐに症状が出現するものを「即時型食物アレルギー」と言い、主な原因は鶏卵、牛乳、小麦です。
カシューナッツやクルミといった木の実類やキウイやバナナといった果物類もアレルギーを引き起こすことがあり、特に3~6歳は木の実、7~17歳では果物のアレルギーを持つ子どもが多い傾向にあります。
食物アレルギーの代表的な症状は皮膚症状ですが、重症化すると血圧低下や意識障害を呈するアナフィラキシーショックを起こすことがあり、アレルギー症状の程度によって対応を変えなくてはなりません。
特に、アナフィラキシーショックは原因となるアレルゲンに触れてから2時間以内に症状が出現、食物アレルギーの場合は30分以内で心停止に陥るとも言われています。
しかしながら、日本では救急車の到着平均時間が約40分であるため、アナフィラキシーを起こした現場でいかに適切な処置が可能か、ということが子どもの命に関わるのです。
緊急時のエピペン注射は教師も可能
重度の食物アレルギーを有する子どもの多くは、医師から緊急時の治療薬であるエピペン注射を処方されているため、学校に持って行かせているという親御さんがほとんどでしょう。
本来、子どもが学校でアナフィラキシーを発症した場合、医師の承諾がなくとも教員や養護教諭がエピペンを注射することが認められていますが、注射という特性上、学校側が投与をためらってしまい、実際に死亡事故に繋がったという悲しいケースも存在します。
また、教員の異動によって児童のアレルギー情報が引き継がれず、正しい対応をしてもらえないということも。
したがって、食物アレルギーを持つ子どもの命を守るためには、親御さんは入学時に学校側と面談をして詳細な情報を共有する、そして、進学時や教員異動の時期には再度面談を希望するといった対策が必要と言えます。
楽しい学校生活のために
食物アレルギーがある場合、以前は弁当を持参することが多かったですが、最近では学校側で除去食の給食を提供してくれることも増えています。
しかし、こうした特別対応を他の子どもから羨ましがられたり、指摘されたりすることをストレスと感じてしまう子どもも少なくありません。
コロナで保護者が集まる機会などが減っていますが、クラス内でも食物アレルギーに対する理解を深めてもらうためにも、学級便りなどを活用して周知することも可能です。
子どもの命と、そして楽しい学校生活のために、改めて学校での対策を見直してみてもいいかもしれません。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2104
『ヨミドクター』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20210321-OYTET50000/
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20210328-OYTET50000/
『ぎょうせい』https://shop.gyosei.jp/library/archives/cat02/0000010357
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子