実は初⁈日本人用の妊娠週数別体重増加曲線とは
妊娠中の大きな悩みの1つが体重管理ではないでしょうか。
妊娠前のBMIをもとに体重増加の目安量は決められていますが、週数ごとにどれくらい増えても大丈夫なのか不安を抱えながら過ごす人も多いはずです。
そこで今回は、国立成育医療研究センターと九州大学により初めて制定された日本人女性向けの妊娠週数別体重管理曲線についてご紹介します。
太り過ぎも痩せすぎもNG
一昔前は、妊娠したら『お腹の子の分も食べなさい』と言われ、どんなに体重を増やしても構わないという風潮がありました。
しかし、医療研究が進むにつれて、妊娠中の過度な体重増加は母体と赤ちゃんにも負担が大きくなるということが明らかになり、一転して厳格な体重管理が推奨されるように。
さらに、こうした妊婦指導に加えて、日本人女性の「やせ」に対する高い意識も相まって、妊娠に必要な体重増加が得られないまま、もしくは胎児が十分に成育しないまま出産するケースが多く見られるようになりました。
その結果、今度は痩せ型の妊婦は低出生体重児を出産するリスクが高いことが明らかになったため、2021年3月には妊娠中の体重増加量目安が引き上がる形で改定。痩せている人ほど多めに体重を増加させて良いという形に変更されました。
しかし、妊娠というのは10ヶ月も続くので、最終的な増加量を示されても、日々の体重管理に落とし込むのは難しいというのが現実です。
そこで、今回国立成育医療研究センターと九州大学の研究により、今まで明確化されていなかった日本人女性に適した妊娠週数別の体重増加曲線が制定されたのです。
曲線通りの体重=順調な妊娠経過ではない
今までの妊娠週数別体重増加曲線は海外のデータをもとに作成されていましたが、今回環境省が実施した「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」における約10万人の妊婦のデータを用いることで、日本人女性の向けの妊娠週数別体重増加量を算出することに成功。
その結果、医療機関での妊婦の体重指導や妊婦自身の体重管理にも役立つことが期待されています。
ただ、今回の曲線とおりに体重が増えていれば、順調な妊娠経過ということではありません。
あくまで体重管理は元気な赤ちゃんを産むための準備の1つであり、何か体調面で不安を感じることがあれば必ず主治医に相談するようにしましょう。
参考URL
『マイナビニュースTECH』https://news.mynavi.jp/techplus/article/20210929-1985680/
『国立成育医療研究センター 妊娠週数別体重増加曲線』
https://www.ncchd.go.jp/scholar/research/section/socialmed/20210916.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子