朝起きれないめまいや頭痛〜思春期に多い起立性調節障害とは〜
朝の忙しい時間はどの家庭にとっても戦場。そんな時に、子どもがなかなか起きてこないと、ついつい「だらだらしていないで早く起きなさい」と言いたくなってしまいます。
しかしながら、実は自律神経の乱れによって朝の起床が難しくなる病気があるのをご存知でしょうか?
そこで今回は、思春期に多いという起立性調節障害についてご紹介します。
めまいや頭痛が特徴
起立性調節障害は、自律神経機能の低下により循環器系の調節がうまくいかなくなってしまう病気のこと。
通常、人の体は立ち上がる時に重力によって下半身にたまってしまう血液を、自律神経の一種である交感神経が心臓に戻す血液量をコントールすることで、一定の血圧になるよう維持しています。
しかし、起立性調節障害の場合は、この交感神経が上手く働いてくれません。
その結果、起床時などに心臓へ戻る血液量が減少し、脳の血流量が低下することで、めまいや頭痛、動悸、ひどい時は失神のような症状を引き起こしてしまうのです。
不登校やひきこもりの原因に
起立性調節障害の症状は午前中に強く出ますが、夕方から夜になれば調子が戻ることが多いため、どうしても周囲からは「怠けているだけ」「学校に行きたくないだけ」と見られてしまいがちです。
しかし、めまいや頭痛といった症状は本人の意思でコントロールできることではありません。
本人は苦痛に感じているのに、周囲の人間に誤解されたり責められることでストレスを感じる患者は多いです。こうしたストレスは起立性調節障害を引き起こす原因にもなり得るため、結果として症状を悪化させてしまうことにも繋がります。
実際、不登校の子どもの約3~4割は起立性調節障害を発症しているとされており、病気のことを周囲に理解してもらえず、不登校になってしまうケースも少なくありません。
家族の理解が大切
起立性調節障害の有病率は軽症例も含めると、小学生の約5%、中学生の約10%と言われており、決して珍しい病気ではありません。
10~16歳のちょうど思春期にあたる年齢に発症しやすく、発症の早期から適切な治療を行えば改善が見込めますが、重症化してしまうと通常の日常生活を送るまでに数年かかることもあります。
1番大切なことは、家族が病気について理解し、適切なサポ―トをしてあげることです。
「最近こどもの朝の様子がおかしい」と感じた場合は「怠けているだけ」と思わず、症状を観察して子どもの話に耳を傾ける。そして、出来るだけ早い段階で専門医に相談してみましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2400
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子