家庭でもチェックを〜思春期に起こる側彎症(そくわんしょう) とは〜
第二次成長期は子どもの体にとって非常に大切な時期である一方、急激に体が変化するので骨や筋肉に影響が出やすい時期でもあります。
そこで今回は、思春期に発症する可能性がある思春期特発性側彎症についてご紹介します。
発症原因は不明
人間の背骨は、横から見るとS字を描くように弯曲しています。
これは、首を支える骨が前方に、胸の部分が後方に、そして、腰を支える部分が前方に曲がるようにカーブをすることで、歩いたり走ったりする時の衝撃を吸収できるようになっているのです。
一方で、正面から見た場合はどうでしょうか。こちらは、ほぼ真っ直ぐになっている状態が正常です。しかし、人口の2〜3%の割合で背骨が10度以上横方向に曲がってしまう側彎症という病気を発症することがあります。
大人になってから発症することもありますが、10歳以降の思春期に発症することが多く、そのほとんどが原因を特定できない特発性思春期側彎症です。
発症傾向としては、男子よりも女子の方がなりやすく、特に痩せている女子に多いことが分かっています。
症状は成長とともに進行していき、成長期が終わる高校生ぐらいでストップしますが、痛みなどで病気を自覚することは少ないので、学校の検診で指摘されることがほとんど。
つまり、積極的にチェックをしない限り、背骨が曲がったまま成長してしまう可能性があるということなのです。
痛みやストレスが日常生活に影響することも
側彎症を発症しても痛みを感じることは少ないですが、側弯の程度や年齢などによっては症状の出方も変わってきます。
例えば、肩の高さの左右差やウエストラインの非対称性といった外見上の異常が現れたり、痛みやストレスなどの症状が出現したりすることも。
命に関わるような病気ではありませんが、見た目の変化や痛みはQOLの低下に繋がります。子どもの健やかな成長のためにも側彎症は早期発見と早期治療が重要です。
家庭でもセルフチェックを
側彎症と診断された場合、ほとんどは経過観察で良いとされます。しかし、背骨のカーブが20度以上なら装具療法を、45度以上に進行していたら手術を検討することもあります。
原因が不明なので予防することはできませんが、一方で急激に症状が進行するような病気ではないため、適切な治療を受けられるようにセルフチェックで早期発見をすることが大切です。
子どもに服を脱いで立ってもらい、後ろから見て肩や肩甲骨の位置に左右差がないか確認するだけで良いので、気になる場合はぜひ一度チェックをしてみてください。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2394
『日本側彎症学会』https://www.sokuwan.jp/patient/disease/discovery.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子