受動喫煙でアレルギーリスク増加⁈子どものためにできること
たばこの煙はさまざまな病気を引き起こし、健康に悪影響を与えるものとして知られています。
特に、子どもの受動喫煙は気道アレルギーや喘息を悪化させたり、乳幼児突然死症候群のリスクになったりするとも言われています。
そんな中、日本小児アレルギー学会が小児期の受動喫煙とアレルギー疾患の因果関係について詳細に検討し、新たな提言を発表しました。
副流煙は空気中に漂っている
たばこの煙には喫煙者が直接吸い込む主流煙と先端から立ち上る副流煙の2種類があり、子どもが吸い込む煙のほとんどは副流煙です。
実は、フィルターを通す主流煙よりも、たばこから直接出ている副流煙の方が、より多くの有害物質を含んでいます。
したがって、本来であれば子どもに受動喫煙をさせてはいけませんが、家庭内に喫煙者がいると、避けられない場合もあるでしょう。
「子どもの目の前では吸わないようにしている」
と言っても、たばこの煙の粒子は1μ以下と非常に小さく、室内で吸った後は長時間空気中を浮遊しています。
つまり、子どもがいない時間にたばこを吸ったとしても、部屋中の空気を入れ替えない限り副流煙は空気中に滞留し、その後で部屋に入ってきた子どもが吸ってしまうことになるため絶対に大丈夫とは言えないのです。
喘息の悪化や呼吸機能低下のリスク
今回、日本小児科アレルギー学会では受動喫煙と小児アレルギー疾患の関連性を明らかにするため、今までに報告された多数の医学研究論文を徹底的に検証しました。
その結果、受動喫煙は小児の喘息の発症と悪化、呼吸機能の低下に関与していること。
そして、アレルギー反応に関与する総IgEを上昇させることが明らかになりました。
また、エビデンスレベルは低くなりますが、乳幼児期に受動喫煙をした場合は、食べ物やホコリなどの室内アレルゲンに対してアレルギー反応を起こしやすい状態になるという結果も出ており、受動喫煙の影響の大きさがうかがえます。
禁煙、吸うなら室外で
今回の研究結果の中には、エビデンスレベルが低いものもあり、受動喫煙と小児のアレルギー疾患の関連については、今後さらなる検証が必要とされます。
しかし、子どもの成長を考えれば、同居する家族は禁煙するというのが最善の道です。
どうしても難しい場合は、子どもが副流煙を吸うことがないよう、必ず室外で喫煙をして、室内に煙を入れないように注意しましょう。
参考URL
『47news』https://www.47news.jp/medical/child/7163504.html
『日本小児アレルギー学会』https://www.jspaci.jp/news/both/20211102-2949/
『日本小児科学会』http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=80
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子