スクリーンタイムが自閉症に影響⁉︎デジタルデバイスとの付き合い方
『テレビやスマホの画面の長時間の視聴は、子どもの健康に悪影響を与える』
こうした考え方が浸透しつつある一方、今の子ども達にとってデジタルデバイスは必要不可欠と言えます。
そこで今回は、スクリーンタイムと自閉症の関係についての研究報告を踏まえながら、デジタルデバイスとの付き合い方についてご紹介します。
1歳の時の試聴時間が影響
テレビや動画などのメディアと乳幼児期から長時間接触してしまうと、親との関わりが減り、子どもの精神面での発達、さらには視力低下や斜視、筋力低下といった身体面での発達にも影響があるということは、既にさまざまな研究により実証されてきました。
その中でも今回、山梨大学はスクリーンタイムと自閉症スペクトラム(ASD)の発症率に注目し、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用い、1歳の時のスクリーンタイムが3歳時の自閉症スペクトラムの発症にどんな影響を与えるのかを検証。
その結果、男児の1歳児のスクリーンタイムが1日2~4時間の群では、まったく視聴していない群に比べて、3歳の時のASD発症リスクが3.48倍であることが明らかになりました。
女児に関しては同じような結果が出ておらず、更なる検討が必要ではありますが、やはり過度なスクリーンタイムは乳幼児の健康に大きな影響を与える原因になり得ると言えます。
提言では2時間が基準
「過度な」スクリーンタイムが子どもの成長によくないならば、どの程度ならば良いのか。
1番気になる問題です。
これには様々な意見がありますが、日本小児科医会では以下のような提言を発表しています。
- 1:2歳までのテレビ・ビデオの視聴は控える
- 2:授乳中・食事中はテレビ・ビデオを視聴しない
- 3:テレビ視聴は1日2時間まで。ゲームは30分以内に
- 4:子どもの部屋には専用のテレビ、パソコンなどのメディア機器を置かない
- 5:保護者と子どもでメディアを上手く利用するルール作りをする
確かに、2歳未満の子どもは画面上の内容と現実世界の関係を理解することが難しいため、動画を延々と見続けるようなことは避けるべきですし、ゲームも依存性が高いため幼少期から時間を区切って遊ぶ習慣をつけておく必要があります。
一方で、例えばビデオチャットで祖父母と会話をする、良質な番組を一緒に見ながら子どもが今どんなことに興味があるのか理解する、など使い方によってはデジタルデバイスが有意義な子育てのツールになるということも事実です。
子ども達はこれからますます進化をしていくデジタル社会を生き抜いていく必要があります。
だからこそ、完全にデジタルデバイスを取り上げるのではなく、それらを活用して子どもの成長を上手く促すことができれば、提言の内容を100%実行する必要はないと言えるでしょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2022/0302544660/
『FIGARO.jp』https://madamefigaro.jp/culture/210622-npo18103-21.html
『日本小児科医会』https://www.jpa-web.org/about/organization_chart/cm_committee.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子