チック症とは〜特徴と受診の目安〜
子どもの頃に発症しやすい発達障害の1つにチック症と呼ばれる病気があります。
大半は自然に治りますが、症状によっては社会生活が難しくなったり、親御さんが困ってしまったりすることも。
そこで今回は、子どものチック症の特徴と受診の目安についてご紹介します。
運動性と音声性の2タイプ
チック症とは、本人の意思とは関係ない運動や発声が、突発的に繰り返し出現する疾患です。
チック症の症状には2つのタイプがあります。
1つ目は瞬きや顔をしかめる、ジャンプをしたり叩いたりするという運動性チック。
2つ目は、「んっ」や「あっ」といった発声、咳ばらいやその場に相応しくない暴言などを言ったりする音声性チックです。
これらの症状が出現する前には「どうしてもその症状をしたい」という気持ちが強くなり、症状が出現すると一時的に気持ちがスッキリすることもあります。
チック症は子どもの5~10人に1人は発症するなど、幼少期に比較的発症しやすい疾患ですが、大半は1年以内に自然に治ると言われています。
1年以上症状が続く場合は慢性チック症と診断され、思春期に最も症状が強くなりますが、以降は症状が軽くなる、もしくは消失するケースがほとんどです。
しかし、運動性チックと音声性チックの両方が1年以上続く場合は、トゥレット症候群と呼ばれ、重症化することもあります。
症状を気にしすぎないで
低年齢の子どもの場合、チック症であっても本人はさほど気にしていないことが多いです。また、チックの症状に注意を向けすぎてしまうと、症状が悪化すると言われています。
したがって、親が症状を気にして「やめなさい」と叱責すると、本人も嫌な気持ちになってストレスが貯まりますし、症状が悪化してしまう可能性もあります。
そのため、周囲に迷惑が掛からない範囲の症状であれば、気にしすぎずに無視をするということが最善の対策と言えるでしょう。
ただ、社会生活が困難になったり、体の一部に痛みを生じるような重症の場合、もしくは中等度の症状でも周囲の目が気になって幼稚園や学校に行きたがらないような場合は受診が必要です。
症状が強い時は薬物療法を行うこともありますが、本人や家族だけでなく、周囲の人にチック症について正しく理解してもらい、本人が安心して過ごせる環境を整えることが治療の基本と考えられています。
一時的な症状のせいで子どもの社会生活が奪われてしまうことがないよう、チック症という病気について正しく理解して、子どもの症状に合わせた治療や対策をするようにしましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2483
『国立精神・神経医療研究センター』https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease16.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子