進むゲーム依存の低年齢化~まずは家庭でルール作りを~
eスポーツをオリンピック競技にするかという議論がされているほど、ゲームは今や娯楽の枠を超えて、急速に人々の生活に浸透しています。しかし、同時にゲームへの依存も問題視されており、特に子ども達への影響は深刻です。
そこで今回は、低年齢化が進むゲーム依存の実態と、依存の予防策についてご紹介します。
子どもはゲーム依存になりやすい状態
人間の脳には理性を司る前頭前野と本能や感情を優先する大脳辺縁系があります。
本来であれば前頭前野の働きが優勢なので、ゲームをやりたいと思っても「寝る時間だから」「宿題をしないといけないから」といった社会的な理由で感情をコントロールし、ゲームをやめることができます。
しかし、依存状態になってしまうと、前頭前野よりも大脳辺縁系の働きが強くなり、感情や欲望を制御できなくなってしまうのです。
特に、成長途中の子ども達の脳は、前頭前野の働きがもともと弱いため、ゲーム依存の状態になりやすいと考えられています。
ゲームが生活の中心に
具体的に、どのような状態をゲーム依存と呼ぶのでしょうか?
一般的にはゲームのプレイ時間や頻度を自分でコントロールできない、日常生活や学業よりもゲームを優先させてしまう、何か問題が起きてもゲームを止められない、といったような状態が1年以上続くとゲーム依存と診断されます。
1年未満であっても、症状が重い場合はゲーム依存の可能性が高いです。
実際に、厚生労働省が2017年度に実施した調査によると、約93万人の中高生はゲームやインターネットに依存していると推計されてます。
また、ゲーム依存の患者は低年齢化が進んでおり、コロナ禍以降は遊び方が制限されたせいか小学生の患者も増えています。
例えば、横浜市では2021年に小学4年~中学3年の子どもを対象にオンラインゲームの依存度を調査した結果、最も依存傾向が高かったのは最小学年である小学4年でした。
今後は全国的に同じような傾向が広がっていくことが懸念されます。
子どもと一緒にルール作りを
ゲーム依存は避けたいですが、現代社会においてネットやゲームを完全に遮断することは難しいでしょう。
したがって、子どもをゲーム依存から守るために、周りの大人が一緒になってルール作りをしてあげることが大切です。
「なぜゲームをやり過ぎてはいけないのか」「ゲーム依存になるとどんな悪影響があるのか」といったことをしっかりと話し合い、その上で子どもと一緒に1日のプレイ時間などを決めると、子どもが自主的に行動しやすくなります。
最近では、市町村や医療機関が独自に作成したゲーム依存度チェックシートやゲーム依存の予防学習シートなどもネットに掲載されているので、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
参考URL
『ヨミドクター』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220516-OYTET50020/
『香川県教育委員会』
https://www.pref.kagawa.lg.jp/kenkyoui/gimukyoiku/syokai/sonota/internet/gakusyusheet.html
『福岡市』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/seishinhoken/life/seishinhoken-center/net-game-addiction.html
『久里浜医療センター』
https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/games-test.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子