休校中のダイエットが引き金に!?~注意したい摂食障害について~
コロナ禍の自粛生活による運動不足の影響は大きく、肥満や体力低下などが指摘されていますが、一方で自粛生活を機にダイエットを始めたという人も多いのではないでしょうか。
健康的な体を手に入れるためのダイエットであれば問題ありませんが、日本心身医学会の報告によると、コロナ禍の過度なダイエットをきっかけに、摂食障害になってしまった子ども達が増えているということが明らかになりました。
そこで今回は、子どもの摂食障害の特徴と、注意したい点についてご紹介します。
心も体も蝕まれる病気
摂食障害には大きく分けて「神経性やせ症」と「神経性過食症」の2つの種類があります。どちらも食事に関連する行動に異常が続くことで、心と体の両方に影響を与える病気です。
10代~20代といった比較的若い人に多く、日本では年間21万人が摂食障害のために医療機関を受診しています。
摂食障害を発症すると、心身の成長や発達はもちろんのこと、学校などの日常生活にも影響が出てしまうため、心も体も成長途中の子どもにとっては特に注意したい病気の1つと言えるでしょう。
コロナ後に患者数が急増
摂食障害を発症する原因は様々ですが、ストレスもその1つになると考えられています。
そして、コロナウイルスのパンデミックに伴う生活様式の変化は、人々の心に十分なストレスを与えており、アメリカで行われた520万人のデータを対象にした大規模な調査によると、コロナ流行後である2020年は前年に比べて摂食障害患者が15.3%増加していることが明らかになりました。
日本国内では、摂食障害の1つである神経性やせ症を発症する思春期の子どもの数が増えており、獨協医科大学埼玉医療センターによれば、2020年初診患者数は前年の2倍に。
そして、コロナによるパンデミックが原因で摂食障害を発症したと考えられる子どもの約8割は、長期休校中に始めたダイエットが発症の引き金になったことが分かりました。
学校と家庭でチェックを
摂食障害と診断された子ども達の受診のきっかけは、学校の養護教諭に勧められたからというケースが多く、学校が果たしてくれる役割は大きいと言えます。
しかし、子どもを1番近くで見ているのは、やはり家族です。
思春期は多感な時期でもあるため、親子の会話や距離の取り方が難しいこともありますが、子どもの食事内容や心身の発達に改めて目を向けて、摂食障害を予防しましょう。
そして、少しでも気になる場合は、「考えすぎ」と思わず、学校や専門機関に相談してみましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2022/0705546321/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子