フッ素で嘔吐!?~歯磨き粉の誤食に注意~
虫歯を予防する目的で歯磨き粉の多くに含まれているフッ素。
市町村によっては小児の歯科健診と併せてフッ素塗布も実施するなど、フッ素は虫歯予防の基本的な対策になっています。
しかし、そんなフッ素も誤って大量に摂取してしまうと、嘔吐や下痢といった消化器症状を発症する可能性があります。
そこで今回は、適切な虫歯ケアのために知っておきたいフッ素の効果と、歯磨き粉の誤食を防ぐための対策についてご紹介します。
フッ素の効果
フッ素は自然界に存在する元素の1つで、以下の2つの作用から虫歯予防に効果的であることが分かっています。
- ①虫歯を作りにくくする
- 虫歯の原因となる虫歯菌は酸を生成して歯を溶かしてしまうのですが、フッ素を塗ることで酸の生成を抑制することができます。
- ②歯を強くする
- 人の口の中はもともと中性ですが、食べ物などで酸性になると、歯の中のカルシウムなどが溶け出します。その後、唾液により溶け出した成分が元に戻り、口の中も中性に戻ります。これが、歯の再石灰化です。
フッ素は歯の再石灰化を助ける作用があるため、虫歯になりにくい強い歯を作るだけでなく、初期の虫歯であれば修復する働きもあります。
誤食による嘔吐下痢に注意
フッ素は乳歯、永久歯に関わらず生えた直後に塗るのが最も効果的だと言われています。したがって、乳幼児期におけるフッ素塗布やフッ素が配合されている歯磨き粉を使用した毎日の歯磨きが虫歯予防には効果的です。
最近では、イチゴやブドウなど色々な味の歯磨き粉が市販されているので、自ら進んで歯磨きをする子どもも増えています。
しかし、一方で歯磨き粉を食べ物と勘違いしてしまい、誤食してしまうケースも。
実際に、1歳の男の子が突然3回ほど嘔吐し、嘔吐物に歯磨き粉が含まれていたことから、誤食による急性フッ素中毒を発症したと考えられるという事案が発生しています。
フッ化物は胃酸と結合するとフッ化水素を発生して胃粘膜を刺激するため、嘔吐などの症状を発症してしまうのです。
事故を起こさない環境作りを
歯磨き粉に含まれるフッ素はごくわずかなので、日常の虫歯ケアで摂取する分には全く問題ありません。
しかし、幼い子どもが大量に摂取すると、嘔吐や下痢、不整脈という症状を引き起こすこともあります。
歯磨き粉の取り扱いには十分に注意し、万が一誤食が疑われる場合は牛乳などの乳製品を取らせて胃粘膜を保護し、医療機関を受診しましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2022/0729546639/
『日本小児科学会』https://www.jpeds.or.jp/modules/injuryalert/index.php?did=144
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子