増え続ける子どもの摂食障害~誰にでも起こり得ること~
こころの不調が原因となって引き起こされる摂食障害。成長期の子どもにとっては発育にも大きく影響を与えるため、注意すべき疾患です。
しかし、コロナ禍では摂食障害を発症する子どもの数がどんどん増えている傾向があります。
そこで今回は、子どもの摂食障害の実態と治療の難しさについてご紹介します。
摂食障害は身近な病気
摂食障害はダイエットの延長線上というイメージが強いですが、れっきとした病気です。
国内においても、10代20代の若者を中心に毎年約22万人が拒食症や過食症といった症状で医療機関を受診していますが、患者のほとんどは本人に病気の自覚がありません。
家族や周りの人が本人を説得して治療を受けさせなくてはならないため、受診に至るまでが難しいというのが特徴です。
したがって、摂食障害の潜在的な患者数はもっと多いと考えられています。
子どもの未来にも影響
摂食障害は神経性の病気なので、そもそもの原因は「こころ」にありますが、最終的には身体的にもダメージを与えるため、非常に怖い病気とされています。
特に、成長期の子どもが摂食障害を発症した場合、その影響は計り知れません。
例えば、痩せすぎて生理が止まる、低栄養状態が続いて身長が伸びなくなる、などその時の症状によって、今後の人生にも影響を与える可能性があるからです。
中には最悪、死に至るケースもあります。
ストレスの行き先を見つけてあげて
もともと摂食障害は、体型を強調する服装の流行や、テレビの影響などもあって1980年ごろから患者数が増加。その後、2000年以降は横這いが続いていたが、新型コロナウイルス流行後は学生を中心に顕著に患者数が増えています。
その原因と考えられるのが、学校や部活動の休止などによる友達との関わりの減少です。
家庭の問題や学校での人間関係などの悩みを、学校生活の中のどこかの場面で発散させていたのに、コロナの影響でそれができなくなってしまった子ども達。
今までは自分の中でどうにか解消していたストレスを解消できなくなったことで、摂食障害を発症してしまうケースが増えています。
患者である子ども達本人に病気の自覚が生まれにくい以上、周りの大人達が積極的に変化に気付いてあげることが大切です。
子どもの気持ちに寄り添いながら、治療を進めましょう。
摂食障害を専門的に治療しているのは心療内科や精神科ですが、中には小児科で対応しているケースもあります。
また、宮城・千葉・静岡・福岡の4県には摂食障害支援拠点病院と呼ばれる専門施設も設置されています。少しでも気になる症状がある場合は、相談してみましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2737
『ヨミドクター』https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220912-OYTET50025/
『摂食障害全国支援センター』https://www.edportal.jp/consultation.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子