正産期の出生体重が子どもの発達に影響!?
妊娠37週以前に低体重で生まれた赤ちゃんのその後の発育や生命予後に影響が出る可能性については、さまざまな研究が行われています。
一方で、37週以降の正産期に生まれた赤ちゃんについては十分な検討がされていませんでした。
そこで今回は、イギリスで報告された新たな研究結果をもとに、赤ちゃんの体重と発育、そして、妊婦の適正体重の重要性についてご紹介します。
妊婦の体重管理に関する変遷
妊娠中の体重管理に関する考え方は、時代と共に変化してきました。1990年頃までは妊婦の太りすぎが問題視されていたため、妊娠前のBMIによって厳格な指導をする産院が多くありました。その結果、妊娠高血圧症や糖尿病の予防には繋がりましたが、一方で痩せすぎの妊婦が増加。
母親と同じく赤ちゃんの体重も減少傾向となり、出生体重が2500g未満の低出生体重児が増える事態となりました。
現在は医療が発達しているため、小さく生まれても病院で適切な保育と治療を受けることで、適正体重の子と変わらぬ生活ができるようになります。
しかし、心臓や脳に障害が出たり、成長するにつれて発達障害が指摘されたりするケースもあり、妊婦の痩せすぎと出生体重の減少傾向が問題視されるようになりました。
そして、令和3年には妊娠中の体重増加の目安が改定され、妊娠前に痩せている人ほど体重を多めに増加させる方針に変更しています。
正産期の出産でも低体重が発達に影響
今回イギリスで行われた研究では、2003年1月~2015年12月の間で妊娠37週以降に誕生した出生児68万例のデータをもとに、出生体重と児の発達の関連を検討しました。発達については、微細・粗大運動の機能、コミュニケーション能力、社交性の4項目で評価しています。
その結果、出生体重が低いほど発達リスクの懸念が高まることが分かりました。
つまり、正産期の妊娠37週以降であっても、妊娠中に十分に発育せず低体重で生まれた赤ちゃんは、その後の運動機能や社会性の発達に影響が出る可能性があると言えます。
子どものために正しい知識を
身体的にも精神的にも負担が大きい妊娠中に、体重管理をしながら生活するのは非常に大変です。中には、産後に元の体型に戻りやすくするため、妊娠中にダイエットをする人もいるかもしれません。しかし、子どもの健やかな成長のためには、適切に体重を増加させて、胎児にも十分栄養を送る必要があります。
まずは自分のBMIを計算して、妊娠中の体重管理について正しい知識を身につけておきましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2022/1014547642/
『日本産科婦人科学会』https://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210616_shuuchi.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子