増える子どもの肥満〜5歳以下対象の肥満ガイドラインも〜
コロナによる外出制限や生活習慣の変化により、肥満の子どもが増えていることは以前から問題視されていました。しかし、最近では就学前である5歳以下の乳幼児の肥満も増加しています。
そこで今回は、5歳以下の幼児を対象にして作成された小児肥満ガイドラインを参考に、小児肥満の危険性と家庭での予防法についてご紹介します。
コロナ禍の生活がそのままに
幼児の肥満には、ホルモンや脳腫瘍などの病気が原因の二次性肥満と、病気が原因でない原発性肥満の2種類があります。身長が-2SD以下の低身長を伴う肥満や、身長の伸びが悪い肥満は二次性肥満の可能性が高いため、専門医による適切な治療が必要です。
しかし、幼児肥満のほとんどは原発性肥満と言われています。高カロリー高脂質といった栄養が偏った食事が原因で発症することが多いです。
特に、コロナ禍では家の中にいることが多かったので、食事時間が変則的になったり、外出制限により日持ちする冷凍食品やインスタント食品などを食べる機会が多くなったりしたことが小児肥満を増加させたと考えられます。
そして、コロナ禍に変化した食生活が今もなお続いていることで、さらに肥満症の幼児が増えているのです。
5歳時の肥満は将来に影響
肥満症は肥満度を測定して診断します。肥満度は子どもの年齢の標準体重と実測体重を用いた計算式で導き出されますが、家庭で調べる場合は小児内分泌学会のホームページに掲載されている「肥満度判定曲線」を使うと便利です。
肥満度が+20%以上は小児肥満と診断されます。
5歳未満の幼児でも同じ診断基準ですが、子どもが幼い頃はどうしても「大きくなったら運動量が増えて痩せるから大丈夫」と親御さんも考えて肥満を放置しがちです。
しかし、5歳で肥満の子どもの約60%は小学6年生になっても肥満であることがわかっています。
つまり、幼いころの肥満予防は、子どもの将来の肥満や生活習慣病予防にもつながる大切な対策だと言えるでしょう。
食生活から改善を
小児肥満を防ぐためには、家庭での食生活に注意しましょう。気を付けたいポイントは以下の5つです。
- (1)おやつはお菓子ではなく、芋類や果物など自然な食物をとるように心がける
- (2)バターなどに含まれる不飽和脂肪酸を控えて、青魚などに含まれる飽和脂肪酸を積極的にとる
- (3)マーガリンや焼き菓子に多いトランス脂肪酸のとり過ぎに注意する
- (4)きのこや海藻、麦ごはんなどで積極的に食物繊維をとる
- (5)塩分や砂糖のとりすぎに注意する
いきなり食生活を変えることは難しいですが、できることから1つ1つ挑戦して、子どもの健康的な体をつくる手助けをしましょう。
参考URL
『たまひよonline』
https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=143484
https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=143482
『日本小児科学会_幼児肥満ガイド』
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2019youji_himan_G_ALL.pdf
『小児内分泌学会_肥満度判定曲線』
http://jspe.umin.jp/public/himan.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子