妊娠中の加熱式たばこが子どものアレルギーに影響~妊娠中から気を付けたいこと~
妊娠中の喫煙は早産や赤ちゃんの発育不良、出生後の乳幼児突然死症候群を引き起こす原因になり得るため、妊婦やその家族には喫煙防止が呼びかけられています。
そんな中、最近利用者が増えている加熱式たばこも子どものアレルギーリスクになり得る、ということが産業医科大学の研究により明らかになりました。
そこで今回は、加熱式たばこの使用が子どもに与える影響についてご紹介します。
加熱式たばこの特徴
新しいたばこのスタイルとして人気が出ている加熱式たばこは、紙巻たばこと以下の点が異なります。
- ・たばこ葉を「火で燃やす」のではなく、「電気の力で加熱する」
- ・煙やたばこ特有のニオイが発生しない
- ・火を使わないため、灰が発生しない
- ・ライターは不要だが、バッテリーなど専用の機器が必要
加熱式たばこは、たばこ葉を加熱することで発生する蒸気を楽しむ製品のため、紙巻たばこと違って煙や特有のニオイは発生しません。しかし、ニコチンは含まれています。スタイリッシュな見た目と多様なフレーバーが楽しめるという理由で日本では女性にも人気がありますが、煙が発生しなくても紙巻たばこと同じくニコチンが含まれている「たばこ」であることを忘れてはいけません。
加熱式たばこ使用で子どものアレルギーの発症リスク増
産業医科大学では、妊娠中の加熱式たばこの使用と出生した子どものアレルギー発症リスクを検証するため、「日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題による社会・健康格差評価研究」において2021年に登録された妊産婦のうち、紙巻たばこを使用していない妊婦約5000人を対象に調査を実施しました。
調査のポイントは以下の通りです。
- ・母親が妊娠中から出産までに1度でも加熱式たばこを使用した場合は「加熱式たばこ使用群」とする
- ・子どもは、「アレルギー性鼻炎/結膜炎」「喘息」「アトピー性皮膚炎」のいずれかを診断された場合にアレルギーとする
検討の結果、加熱式たばこ使用群の子どもは非使用群にくらべて2.26倍アレルギーを発症しやすいことが明らかになりました。
どういったメカニズムで加熱式たばこの使用が子どものアレルギー発症に影響を与えるのかは解明されていませんが、紙巻たばこと同じく、妊娠中のニコチン摂取が器官形成などを通して子どものアレルギーリスクを高めると考えられます。
子どもの健やかな成長と健康のためにも、妊娠中からたばこ類の使用はやめるようにしましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2022/1201548266/
『Pubmed』https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36176042/
『JT』https://www.jti.co.jp/tobacco/knowledge/variety/tobacco-vapor-products/index.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子