インフルエンザの流行に注意~乳幼児に多いインフルエンザ脳症とは~
ここ2年ほど流行が下火になっていたインフルエンザですが、コロナの水際対策の緩和などを受けて、今年は大流行の可能性があると言われています。
そこで今回は、インフルエンザの流行に合わせて注意したい、乳幼児が発症しやすい「インフルエンザ脳症」についてご紹介します。
インフルエンザ脳症とは
インフルエンザはインフルエンザウイルスへの感染により発症する病気で、急激な発熱や悪寒、関節やのどの痛みなどの症状が代表的です。基本的には3~4日程度で解熱し、自然に軽快する病気ですが、乳幼児が感染した場合はインフルエンザ脳症を引き起こすことがあります。
インフルエンザ脳症は、体内に侵入したウイルスを攻撃する免疫が働き過ぎて、自分の脳にまで炎症を起こしてしまう病気です。発熱してから数時間~1日程度で発症し、乳幼児に多くみられます。主な症状は意識障害やけいれん、そして、普段とは明らかに異なる異常行動などです。治療をすれば約7割は回復するとされていますが、約2割には麻痺や高次脳機能障害などが残り、6%程度の人は亡くなっています。
感染しない対策も重要
インフルエンザ脳症には特効薬はありません。しかし、水分補給や酸素投与をしながら、薬でけいれんの症状を抑えて全身状態を安定させると同時に、抗ウイルス薬を用いてインフルエンザによる発熱や症状を改善させることが可能です。
また、脳の過剰な免疫反応や炎症を抑えるために、ステロイドなどを大量に投与して脳の神経細胞を保護する治療を行う場合もあります。
このように、インフルエンザ脳症を発症した場合は、入院治療が必須となるため、以下のような場合はインフルエンザ脳症を疑い、すぐに救急車を呼びましょう。
- ・インフルエンザ診断後に5分以上のけいれんが続く
- ・けいれん後も意識が戻らない
- ・自分の手を食べ物だと思い込んで噛んだり、急に怒り出したりするなどの異常行動が1時間以上続く
また、インフルエンザにかからないように、予防することも大切です。コロナ対策と同じく、手洗いうがいと手指消毒はもちろんのこと、ワクチン接種も非常に効果的です。感染リスクを下げるためにも、出来る対策がないか今一度検討してみましょう。
参考URL
『ヨミドクター』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20221205-OYTET50033/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子