子どもの胸のしこりは乳がん!?~第二次成長期の発達と経過~
がんの中でも罹患率の高い乳がんは、年々患者数が増加しており、同時に病気に対する認知度も高まっています。初期段階で病気を発見するためのセルフチェックも推奨されていることから、乳房のしこり=乳がんというイメージが浸透しているほどです。
そこで今回は、子どもの第二次性徴期に発生しやすい乳房のしこりと乳がんとの違いについてご紹介します。
乳房のしこりは乳腺の発達によるもの
第二次性徴期とは、生殖能力の発達など子どもから大人への心身の発達を迎える時期で、平均的には男子で11歳ごろ、女子は10歳ごろに始まります。身長が大きく伸びたり、陰毛が生えたりする他に、男子の場合は声変わり、女子の場合は初潮を迎えるなどの変化が特徴的です。
そして、第二次性徴期の初期には乳房の成長に伴って乳腺も発達します。乳腺は母乳の分泌などの役割を持つ、乳房の内側にある管状の器官です。一般的に女子は10歳前後から乳房の発達が始まりますが、乳房が膨らんでから乳腺が発達する場合と、先に乳腺が発達してから乳房が膨らむ場合があります。乳腺が急激に発達した部分はしこりのように感じることがあるため、特に乳房が膨らむより前に乳腺が発達した場合は、しこりが目立つことが多いです。
不安になりすぎず成長を見守って
乳房のしこりと言うと、乳がんをイメージすることが多いですが、第二次性徴期の胸のしこりと乳がんのしこりには大きな違いがあります。
乳がんのしこりは硬く、触ってもあまり動かない傾向がありますが、乳腺の発達に伴うしこりは比較的柔らかく、乳輪の下にできることが多いです。また、しこりが片側から両側に増えたり、乳房が膨らむにつれて目立たなくなる場合もあります。
しこりが圧迫されることで痛みを感じることもあるため不安になりますが、およそ3~5年程度でしこりは消失します。過度に心配せずに、子どもの体の成長と向き合いながら経過を見守ることが大切です。一方で、もちろん悪性腫瘍の可能性もゼロとは言い切れません。乳腺の発達とは違うしこりを感じるようであれば、小児科医に相談しましょう。
また、乳腺の発達は男子にも起こります。女子のように問題にはならないことが多いですが、胸のいたみやしこりを感じる男子も少なくありません。もし、子どもに気になる症状がある場合は、成長ホルモンによるものであると教えてあげましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2808
『スクスクのっぽくん』https://www.suku-noppo.jp/q-a/a93.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子