休校時の生活習慣が学校再開後にも影響~心身症の発症に注意を~
新型コロナウイルスの猛威が次第に落ち着き、屋内でのマスク着用義務が解除されるなどwithコロナ生活も終わりが見え始めています。しかし、コロナウイルス流行時に行われた全国一斉休校などで子ども達の生活習慣は大きく崩れ、学校が再開した後の健康リスクにも影響を与える可能性があることが東京大学の研究により示唆されました。
そこで今回は、休校時と学校再開時における子どもの生活習慣の変化や、学校生活が子どもの生活習慣に与える影響についてご紹介します。
「学校に行くこと」が睡眠習慣に影響
東京大学未来ビジョン研究センターでは、2020年3~5月に行われた長期休校期間と学校再開後の生活習慣の変化について検証するため、14都道府県の47校に在籍する子ども4,084人に対して質問票による調査を実施。臨時休校期間中と学校再開後の2021年2月時点における起床・就寝時刻や睡眠時間の変化について比較検討しました。
その結果、休校時に起床と就寝時間がとても遅かった群(起床8~10時/朝食9~10時)は、とても早い群(起床6時ごろ/朝食6~7時)にくらべて、学校再開後の起床時刻と睡眠時間が大きく変化していることが分かりました。具体的には、とても遅かった群の起床時刻は学校再開に伴って2時間ほど早まり、睡眠時間は1.76時間ほど短くなっています。
つまり、休校時は通学や時間割りという縛りがないため、生活習慣が乱れやすい状況であり、反対に、学校再開後は決められた時間までに学校に通うことで、強制的に睡眠習慣を整えていたと言えます。
しかし、生活習慣を元に戻すことは子どもにとって大きな負担です。休校時だけでなく長期休暇明けなども、できるだけ睡眠習慣が大きく変化しないよう注意しましょう。
生活の変化による心身症が増加
コロナが落ち着き、現在は学校が再開して以前の生活習慣に戻ってはいるものの、生活の変化の度合いが大きい子どもの中には、心身の健康に影響が出るケースもあります。実際、南和歌山医療センターの研究によると、長期休校をきっかけに心身症を発症したり、アレルギー疾患が増悪したりする小児患者が増加していることが明らかになりました。
起立性調節障害や強迫性障害、摂食障害や片頭痛など症状はさまざまですが、子どもは心の状態を上手く言葉にすることが難しいため、メンタル面の問題に気付いてもらえないことも少なくありません。
生活は徐々に従来の形に戻りつつありますが、子ども達の心は変化に対応しきれていない可能性もあります。子どもの健やかな成長のためにも、体調の変化に隠れた心の不調にも気を配ることが大切です。
参考URL
『メディカルトリビューン』
https://medical-tribune.co.jp/news/2023/0206555478/
https://medical-tribune.co.jp/news/2022/0706546357/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子