急増する感染性胃腸炎に注意~原因別の症状と対策~
気温が上がるにつれて、コロナやインフルエンザなどの感染症は落ち着いてきました。その一方で、国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、感染性胃腸炎に感染する子どもが増えてきています。
そこで今回は、感染性胃腸炎の原因と対策についてご紹介します。
感染性胃腸炎とは
胃や小腸、大腸に炎症が起こる病気を胃腸炎と言います。感染性胃腸炎の場合は、ウイルスや細菌が主に腸に入って炎症を起こし、下痢や腹痛、嘔吐などの症状を引き起こします。
感染性胃腸炎の感染経路は、経口感染と接触感染の2つです。病原菌で汚染された食事を食べたり、病原菌が付着した手で口元に触れたりすることで、感染が広がっていきます。
また、感染力が強いため、家庭内や集団生活をする施設内で流行しやすい点にも注意が必要です。
原因別の症状
感染性胃腸炎と言えば、冬場に流行するノロウイルスやロタウイルスが代表的です。
しかし、実際には他にも原因となるウイルスや菌があります。
それぞれ活発になる時期が異なるため、感染性胃腸炎は冬だけでなく1年を通して警戒が必要と言えるでしょう。
感染性胃腸炎の主な原因と症状は以下の通りです。
●ウイルス性
潜伏期間 | 主な症状が続く期間 | |
---|---|---|
ノロウイルス | 24~28時間 | 吐き気・下痢・嘔吐・腹痛・頭痛などが1~2日間 |
ロタウイルス | 2日間 | 激しい嘔吐・下痢(白色便)などの消化器症状が数日~1週間程度 |
アデノウイルス | 3~10日間 | 発熱・嘔吐・1週間以上続く下痢 |
●細菌性
潜伏期間 | 主な症状 | |
---|---|---|
黄色ブドウ球菌 | 3時間程度 | 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛などが1~2日間程度 |
カンピロバクター | 1~7日間 | 発熱・吐き気・嘔吐・腹痛から遅れて下痢などの症状が1週間程度 |
サルモネラ菌 | 8~48時間 | 吐き気・嘔吐・腹痛・下痢が数日~1週間程度 |
衛生対策とワクチンで発症予防
感染性胃腸炎は、主に食品や食品に触れた人の手を介して発症します。したがって、感染性胃腸炎を予防するためには、食材管理や調理中の衛生面に注意する必要があります。
手洗いや手指消毒はもちろんのこと、次亜塩素酸ナトリウムで調理器具を漂白する方法なども効果的です。
次亜塩素酸ナトリウムは取り扱いに注意が必要なため、東京都感染症情報センターのWebサイトに掲載されているような、漂白剤の正しい使い方や薄め方などを確認してから使用しましょう。
また、ロタウイルスについては乳児期から公費で予防接種を受けることで予防することができます。子どものロタウイルス腸炎は重症化するリスクも高いため、積極的に受けた方がいいでしょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/rensai/2023/0523556697/
『クラシエ』https://www.kracie.co.jp/ph/k-kampo/ichoukaze/cause.html
『東京都感染症情報センター』https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/gastro/
『くにちか内科クリニック』https://kunichika-naika.com/subject/food-poisoning-infectiousenteritis
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子