イチゴ舌は溶連菌感染症!?~気になる症状と注意点~
この夏は全国的に子どもの夏風邪が大流行しています。コロナや季節はずれのインフルエンザに加えて、ヘルパンギーナやRSウイルスなどを発症する子どもが多いです。
そこで今回は、代表的な夏風邪に加えて注意しておきたい「溶連菌感染症」について解説します。
溶連菌と言えば「イチゴ舌」
溶連菌感染症とは、正式にはA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と言い、A群β溶血性レンサ球菌という細菌によって引き起こされる咽頭炎です。3~12歳ごろに発症しやすい病気ですが、大人でも感染します。
溶連菌に感染すると、2~5日感程度の潜伏期間の後、発熱や喉の痛みといったいわゆる喉風邪の症状を引き起こします。しかし、他の喉風邪と違う溶連菌の大きな特徴は、舌がイチゴのようにぶつぶつした状態になる「イチゴ舌」です。
見た目は特徴的ですが、痛みや違和感を感じることはないため、イチゴ舌に気が付かずに小児科に受診するケースも少なくありません。
逆に、「溶連菌感染症と言えばイチゴ舌」というイメージが強く、イチゴ舌の症状がないから溶連菌ではないと判断してしまう人もいます。
しかし、実際には溶連菌の全てのケースでイチゴ舌の症状が現れるわけではありません。イチゴ舌の症状がなくても、発熱や咽頭痛、全身の発疹などが見られる場合は溶連菌感染症を疑い、医療機関を受診しましょう。
川崎病にも注意を
イチゴ舌の症状は溶連菌感染症だけでなく、川崎病でも表れます。川崎病はウイルスや細菌性の喉風邪をきっかけに発症する、子どもの後天的な心疾患です。発熱や発疹、リンパ節の腫れなど、溶連菌と共通する症状が多く見られます。
一方で、溶連菌の発熱は3~4日程度で治ることが多いですが、川崎病の場合は5日以上続くことが多いです。また、川崎病は4歳以下の子どもが発症しやすく、BCGの跡が腫れるという特徴があるため、両者を見分けるために覚えておきましょう。
薬を飲み切って合併症を防ごう
溶連菌は飛沫と接触によって感染します。したがって、予防のためには手洗いうがいを徹底し、家族内で感染者が出た場合は、マスクを着用したり、タオルや食器を分けて使用したりした方がいいでしょう。
溶連菌には細菌に対する抗生剤治療が10日間ほど行われますが、処方された日数の抗生剤は必ず飲み切るようにしましょう。熱などの主症状は服薬後2~3日程度で治まることが多いです。しかし、服薬を途中でやめてしまうと、溶連菌を完全に排除できず、腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こす恐れがあります。
また、抗生剤治療は10日間ほど続きますが、抗菌薬治療から24時間が経過して、熱などがなく全身状態が良好であれば、登校は可能です。服薬を忘れないように注意しながら、日常生活を再開させましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3025
『学校保健安全法』https://www.gakkohoken.jp/files/special/images/special7/h04.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子