夏休みに悪化⁈思春期に起こりやすい起立性調節障害について
毎朝起きるのを渋ってなかなか布団から出てこないお子さんは多いのではないでしょうか?忙しい朝に「起きたくない」と言われると、親としては「夜更かししたから」「この子は朝が弱いから」と何となく理由付けをして過ごしてしまいがちですが、実は病気が隠れていることもあります。
そこで今回は、朝起きるのが辛くなってしまう「起立性調節障害」についてご紹介します。
自律神経の不調が原因で起こる病気
起立性調節障害とは、自律神経の機能不全により引き起こされる病気です。思春期に発症しやすく、たちくらみや失神、倦怠感や動悸などの症状が見られ、朝起きる時に辛いと感じるようになります。
思春期に起こりやすい理由としては、体の発達に伴って自律神経やホルモン分泌のパターンも子どもから大人へと変化する際にズレが生じるからです。成長期のスパートである小学校高学年~中学校時代に発症することが多く、中学生の約10人に1人は起立性調節障害の疑いがあると言われています。
朝つらい原因は血圧低下
人の体は日中に交感神経が働き、夜間には副交感神経の働きが活発になることで、体の調子を整えています。例えば、朝起きた時に立ち上がると、血液は一気に下半身に集中して血圧が低下しますが、交感神経が働きかけることで瞬時に血液を正常に戻します。
しかし、起立性調節障害の場合は立ち上がった際に交感神経がうまく働いてくれません。その結果、低下した血圧がなかなか戻らず、脳への血流量が減ったままなのでクラクラしてしまい、起き上がることが辛いと感じるようになります。
逆に、夜になると症状が良くなることが多いため、学校を休みたいための仮病と間違われることも少なくありません。
また、夏場は暑くて自律神経が乱れやすく、汗をかいて水分不足になることで、症状が悪化しやすいと言われています。夏休みをきっかけに発症することもあるため、子どもの様子に注意しましょう。
原因に合わせた治療が必要
起立性調節障害と診断された場合は、血圧を上げる薬や頭痛や吐き気の症状を和らげる薬を使って治療をすることが可能です。
しかし、起立性調節障害は生活習慣やストレスが病状に大きな影響を与えています。したがって、薬だけではなく、生活リズムの改善や筋力アップのための運動など、原因に合わせた生活調整が治療の大きなポイントです。
また、起立性調節障害により朝起きれない日が続くと、学校生活にも支障をきたし、最悪の場合は不登校につながることもあります。学校に行かず家に籠る生活が続くと、生活リズムが乱れたり、筋力が低下してさらに病状を悪化させたりする可能性もあるため、本人と相談しながら学校生活に戻れるよう周囲がサポートすることも大切です。
現時点で起立性調節障害の治療を行っている小児科は少ないですが、気になる症状がある場合はまずはかかりつけの小児科医に相談しましょう。
参考URL
『ヨミドクター』https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20230726-OYTET50000/amp/
『日本小児心身医学会』https://www.jisinsin.jp/general/detail/detail_01/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子