虫に刺されて発熱⁈子どもの重症蚊刺アレルギーとは
記録的な猛暑の影響により農作物の不作や熱中症患者の急増などの問題が起きていますが、影響を受けているのは人間だけではありません。本来、夏場に活発に活動をする蚊も、あまりの暑さで動きが鈍くなり、その結果、今年の夏はあまり蚊に刺されなかったと感じる人が多いようです。
しかし、夏に息をひそめていた蚊は、気温が下がる秋に活発に活動し始めるため、今からの季節こそ虫刺されの対策が必要になります。
そこで今回は、子どもに多い蚊刺アレルギーの特徴と注意点についてご紹介します。
蚊刺アレルギーの原因はウイルス
一般的には、蚊に刺されると刺された箇所が赤く腫れてかゆみを感じます。場所によっては強い痒みを感じることもありますが、ほとんどは数時間もすれば落ち着き、腫れも引いて跡が残ることは少ないです。
一方、蚊刺アレルギーの場合は、蚊に刺された部分が一般的な人よりも赤く腫れあがり、強いかゆみや水膨れを伴うことがあります。さらに、皮膚症状に加えて、発熱やリンパ節の腫れなどの全身症状が見られる場合には重症蚊刺アレルギーが疑われるため、皮膚科や小児科への受診が必要です。
重症蚊刺アレルギーは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)への感染により起こります。EVPは蚊が血を吸う時に出す唾液に混じっているため、ほとんどの人が子どもの頃に感染するありふれたウイルスです。
しかし、まれに体内に入った蚊の唾液成分に対して、激しいアレルギー反応を示すことがあり、その結果としてEBVが活性化し、重症蚊刺アレルギーを引き起こすと考えられています。
刺されるたびに発熱する場合は要注意
重症蚊刺アレルギーはまれな病気です。しかし、感染すると10年前後でリンパ腫などの重篤な病気を発症する可能性が高いため、早い段階でアレルギーの診断を受けることが重要になります。
診断の際には血液検査を行い、血液内のEBVやアレルギー反応を起こす細胞の数を測定します。皮膚症状や発熱などの症状に加えて、細胞数の増加が見られる場合には、重症蚊刺アレルギーの可能性が高いです。
治療としては患部に強力なステロイド剤を塗布し、熱にはステロイド薬を内服します。しかし、症状が治まったとしても、リンパ腫などが進行していないか定期的に血液検査でチェックすることが大切です。
重症蚊刺アレルギーは珍しい病気ではあるものの、子どもの頃に発症しやすく、重篤な病気を併発する可能性も高いため、「蚊に刺されるたびに強い腫れや発熱が見られる」「去年刺された傷跡は残っている」といった場合には、重症蚊刺アレルギーを疑い、早めに小児科や皮膚科に相談してみましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3072
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子