子ども窒息を予防するためにできること~リスクのもぐらたたきで子どもを守る~
9月といえば、十五夜のお月見。子どもと一緒にお団子を作って食べるご家庭も多いのではないでしょうか?
しかし、お団子などの餅は窒息のリスクがある食べ物です。小さな子どもに食べさせる時は十分に注意する必要があります。
そこで今回は、食べ物による子どもの窒息を防ぐために知っておきたい、対策と考え方についてご紹介します。
子どもの気管の太さは小指と同じ
窒息とは、空気の通り道である気道が塞がれることです。新しい空気を吸い込むことができないため、短時間の内に命に関わる状態に陥ります。
気管と食道は隣り合っており、普段は呼吸のために気管が開いています。そして、食べ物を飲み込む時には気管の蓋が締まって食道の入口が開くため、食べ物が気管に入ることはありません。
しかし、息を吸いながら食べ物を口に入れてしまった場合は、気管に詰まる可能性があります。子どもの気管の太さは本人の小指と同じです。想像以上に狭いため、小さな豆やナッツ類のかけらであっても詰まって気道を塞ぐ可能性があることを覚えておきましょう。
窒息事故が起こりやすい食材
子どもが窒息事故を起こしやすい食材には以下のようなものがあります。
- 球体でつるっとした物
- ブドウ、ミニトマト、うずらの卵、球形のチーズ、ソーセージ、カップゼリー、白玉団子、あめ、豆類
- 粘着性が高くて
飲み込みにくい物 - 餅、米、パン類、焼き芋、カステラなど
- 固くて嚙み切りにくい物
- リンゴ、肉類、エビ、イカ、貝類、生の人参など
- 弾力が強くて噛みにくい物
- きのこ類、グミ
- 唾液を吸収して
飲み込みにくい物 - のり、ゆで卵、鶏ひき肉のそぼろ、煮魚など
ここで紹介している食材は一例であり、子どもの年齢や歯の本数、噛む力や発達状況などによって注意すべき食材は異なります。
しかし、大人が想像する以上に食材自体に窒息のリスクがあることを覚えておきましょう。
食べ物が口に入る前のリスク管理がポイント
いったんヒトの口に食べ物が入ると、外部から嚥下をコントロールすることはできません。つまり、いくら大人が見守っていたとしても、子どもの口の中に入ってしまえば、それをどのように噛んで飲み込むかはコントロールできず、窒息の予防はできないのです。
したがって、子どもの窒息を予防するためには、口に入る前段階であらゆるリスクを取り除き、危険性に気付いたらすぐに対応する「モグラたたき」方式で取り組む必要があります。
また、家庭内での対策だけではなく、子どもを預けている保育の場で窒息対策が行われているかも確認しましょう。給食にミニトマトやブドウがそのまま提供されていないか、豆まきの豆を食べさせることはないか、など気になる点は多いです。
もし改善が必要な点がある場合は、園に直接かもしくは地方自治体の担当課に相談する方法もあります。
悲しい事故を起こさないためにも、大人が窒息リスクのモグラたたきをしましょう。
参考URL
『ヨミドクター』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20230825-OYTET50000/?catname=column_yamanaka-tatsuhiro
『摂津市 子どもの食コラム』
https://www.city.settsu.osaka.jp/soshiki/jisedaiikuseibu/shussannikuji/oyakonokenkou/kodomonokenkou/kodomoshoku/20623.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子