ヨーグルトが子どもの中耳炎を予防⁈発症メカニズムとの関係とは
小さい子どもなら1度はかかると言われてる中耳炎。耳の痛みや発熱を伴うこともあり、親としては心配な病気の1つです。
そんな中、ヨーグルトの摂取頻度と子どもの中耳炎罹患リスクに関係があるという研究結果が報告されました。
そこで今回は、中耳炎の特徴とヨーグルトとの関係性についてご紹介します。
6〜7割の子どもが罹患する
中耳炎とは、耳の奥にある鼻と口につながる中耳の部分に細菌やウイルスが侵入することで、炎症が起きたり膿が溜まったりする病気です。
子どもの場合は、風邪を引いた時に喉や鼻に入り込んだウイルスや細菌が、耳管と呼ばれる管を通って中耳に侵入して急性の中耳炎を起こします。したがって、風邪が治ったのに子どもの機嫌が悪い、耳を触る、ミルクを飲まないなどの症状がある場合は、急性中耳炎を併発していることが多いです。
特に生後6ヶ月〜2歳ごろまでにかかりやすく、小学校の入学までに6〜7割が罹患すると言われてますが、たかが中耳炎と油断してはいけません。重症化すると、髄膜炎や脳腫瘍を引き起こす可能性もあります。
風邪が治っても気になる症状がある場合は、早目に小児科医へ相談しましょう。
ヨーグルトを摂取するほど中耳炎の発症リスクが低下
ヨーグルトには整腸作用だけでなく、免疫機能を中心とした喉の環境にも影響を与えるため、感染症発症予防の観点からも摂取が推奨されています。
そこで、喉の感染症と関連が深い中耳炎の発症リスクと継続的なヨーグルトの摂取の関係性を検討するため、東北大学病院では環境省が実施するエコチル調査に登録されている9万5,380組の母子を対象に検討を行いました。
具体的には、母子のヨーグルトの摂取頻度(なし/週に1〜2回/3〜4回/5〜6回/毎日)と子どもの中耳炎の発症(生後6ヶ月/1歳/1歳6ヶ月/2歳時点)の関連を解析しています。
解析の結果、ヨーグルトの摂取頻度が高ければ高いほど、乳幼児期の中耳炎発症リスクは低くなり、特に生後6ヵ月時点においては、ほとんどヨーグルトを摂取しない群にくらべて、毎日摂取した群では約46%中耳炎の発症リスクが低いことが明らかになりました。
また、妊娠中に高頻度でヨーグルトを摂取していた母親から生まれた子どもは、中耳炎を発症するリスクが低くなる可能性も示唆されました。
健康のためにヨーグルトを活用しよう
今回の研究は、摂取したヨーグルトの菌種や量などについては検討していないため、今後より詳細な追加研究が行われることが期待されます。
一方で、ヨーグルトはカルシウムが豊富で、整腸作用や免疫機能にも良い影響を与えることから、大人だけでなく子どもも積極的に摂取してほしい食べ物です。
中耳炎の発症リスクを低下させるだけでなく、家族の健康を維持するためにも、改めて食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2023/0525556746/
『キャップスクリニック』https://caps-clinic.jp/kyuseichu/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子