新生児マススクリーニングに追加された2つの難病について
生まれてくる赤ちゃんの先天性代謝異常などを見つけるための検査である新生児マススクリーニング検査。公費で受けることができるため、ほとんどの赤ちゃんが産院で受けていることでしょう。
今までは20種類の疾患が対象でしたが、今回新たに2つの疾患が追加されることが政府により決定されました。
そこで今回は、新生児マススクリーニングについてご紹介します。
検査を受けることで赤ちゃんの将来が変わる
新生児マススクリーニング検査は、日齢4~6日ごろの赤ちゃんの踵からわずかな血液を採取して行います。フェニルケトン尿症のような先天性代謝異常や甲状腺機能低下症、副腎過形成症などの病気が対象です。
いずれも発育不良や知能障害などを引き起こし、最悪の場合は死に至るケースもあります。しかし、早期に病気を発見して治療介入を行うことで、発症を抑制したり健康な生活を遅れたりするため、新生児マススクリーニング検査は赤ちゃんのその後の人生を左右する非常に重要な検査です。
新生児マススクリーニング検査は国の事業として自治体が主体となり行っているため、検査に関わる費用は発生しません。公費で受けることができることもあり、現在はほぼ100%の赤ちゃんが新生児マススクリーニング検査を受けています。
早期発見がポイントに
今回新たに検査対象に追加された疾患は、「脊髄性筋萎縮症(SMA)」と「重症複合免疫不全症(SCID)」の2つです。
SMAは全身の筋力が低下する進行性の病気で、約2万人に1人の割合で発症します。乳幼児期に発症して重症化すると人工呼吸器が必要になり、最終的に2歳までに亡くなるケースが多いと言われています。
しかし、無症状の段階から治療介入を行うことで、SMAではない子どもに近い発達を実現することも可能だとされているため、新生児マススクリーニング検査での早期発見が大きなポイントです。
SCIDは、生まれつき体の中の免疫細胞がうまく働かず、細菌などへの感染に対する抵抗力が低下する病気です。そのため、生後1、2か月程度で感染症による極度の下痢や重い肺炎にかかり、ほとんどの赤ちゃんが1歳までに命を落とすとされています。
しかし、近年は新たな治療法が確立されて治療を受けることが可能です。赤ちゃんの健やかな成長を守るためにも、新生児マススクリーニング検査の意味を正しく知って、受けましょう。
参考URL
『ヨミドクター』https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20231109-OYT1T50179/?catname=news-kaisetsu_news
『東京都予防医学協会』https://www.yobouigaku-tokyo.or.jp/baby/public_index.html
『ノバルティス』https://smarteyes.baby/nbs/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子