コロナ後に自殺願望を持つ子どもが増加!体重減少にも注意を
新型コロナの感染拡大による社会生活の変化は、私たちに大きな影響を与えました。最近はようやくコロナ前のような生活が戻りつつありますが、一方で子ども達の心には依然としてコロナ禍に感じた不安や寂しさが色濃く影響しているようです。
そこで今回は、コロナ後に神経性やせ症や希死念慮を抱く子どもが増えている問題についてご紹介します。
コロナ流行の長期化により子どものメンタルヘルスに変化
国立成育研究センターでは新型コロナウイルス感染症流行の長期化が、子どものメンタルヘルスに与える悪影響を把握するため、2023年の4~6月に全国31施設32診療科に対し調査を実施しました。
今回の研究では、2019~2022年度における20歳未満の神経性やせ症と希死念慮を抱く初診外来患者数、神経性やせ症の新規入院患者数を検討しました。
その結果、コロナの流行後から神経性やせ症の患者数が増加しており、感染拡大が落ち着いた今もなお高い水準が続いていることが分かりました。
神経性やせ症の患者数がコロナ後も増加傾向
具体的には、コロナ流行前である2019年度の神経性やせ症の新規患者数が199例に対し、2020~2021年度は300例を超える患者数となり、その後も高い水準が続いています。
新規入院患者数についても2022年度は2019年度の約1.6倍に増加しており、多くの施設で病床充足率が100%を超えていました。
神経性やせ症は摂食障害の1つで、一般的には拒食症という名前で知られています。
精神的な理由により食欲が低下する病気ですが、「痩せたい」という願望が契機となって発症することがほとんどです。
そのため、10~19歳の女性が発症しやすく、患者の約9割を占めています。
成長期の子どもが発症すると、発達や第二次性徴などに大きな影響を与えるだけでなく、最悪の場合は死に至るケースもあるため、注意が必要です。
生活は元に戻っても子どもへのケアは忘れずに
神経性やせ症と同じく、希死念慮や自殺企図の初診外来患者数も2019年度にくらべて2022年度は約1.6倍に増加しています。
身体的には成長していても、子どもの精神状態は大人にくらべると不安定で、抱える不安を言語化して周囲に助けを求めることが難しいです。
ようやくコロナ前のような生活が戻りつつありますが、子どもへの影響はしばらく続くことを念頭において、食事の様子や体型の変化、コミュニケーションの取り方などに改めて注意をしてみましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2023/1115559963/
『日本内分泌学会』http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=59
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子