発育性股関節形成不全は早期発見が治療のカギ
赤ちゃんの足と言えば、ムチムチで柔らかく、そして、M字に曲がっているイメージが強いです。大人からすると足をM字の状態にするのは大変な気がしますが、赤ちゃんの場合はM字が自然な状態のため、足を伸ばしてしまうと股関節にトラブルを引き起こす可能性があります。
そこで今回は、赤ちゃんの健やかな成長を守るために知っておきたい発育性股関節形成不全についてご紹介します。
抱き方や寝かせ方が股関節脱臼の引き金に
発育性股関節形成不全とは、赤ちゃんの足の付け根の関節が外れて脱臼を起こしている状態や不安定になっている状態を言います。赤ちゃんの股関節が生まれつき外れていることは非常に稀なため、生まれてから生後3か月ごろまでの抱き方や寝かせ方が脱臼を引き起こす主な要因です。
赤ちゃんの足はM字の状態が自然であることは、産院などでも指導されることが増えています。
しかし、実際には赤ちゃんの1000人に1~3人の割合で発育性股関節形成不全を発症していることから、我が子は大丈夫と思わずに注意が必要です。
病気発見の時期によって治療が変わる
本来M字の状態が自然である赤ちゃんの足を伸ばした状態にしていると、股関節が脱臼しやすくなります。そして、一度脱臼を起こすと左右の足の長さに差が生まれて歩きづらくなったり、成人してからも股関節が痛んだりする危険性があります。
発育性股関節形成不全の治療は赤ちゃんの月齢によっても変わり、早い時期から治療をしていた方が治りやすくて負担が少ないです。
したがって、赤ちゃんが股関節脱臼を起こさないよう日常的に注意するのはもちろんのこと、発育性股関節形成不全を発症していないか、親が意識的にチェックすることも大切だと言えるでしょう。
早期発見のために定期的なチェックを
日本小児整形外科学会では、発育性股関節形成不全を早期発見するための保護者向けチェックリストを作成しています。以下の場合は股関節脱臼を疑い、整形外科受診の検討を呼びかけているため、気になる場合は同学会のホームページをチェックしてみてください。
(条件1)股関節の開きが悪い
(条件2)次の4項目のうち、2項目を満たす
- ・脚のシワが左右で非対称
- ・家族に股関節が悪い人がいる
- ・女の子
- ・逆子で生まれた
参考URL
『日本小児整形外科学会』http://www.jpoa.org/8041/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子