裸眼視力1.0未満の子どもが増加~学校保健統計調査の結果から~
文部科学省では、子ども達の発育や健康状態を把握するため、全国の5~17歳の子どもの一部を対象にした統計調査を毎年4月1日~6月30日の期間に実施しています。
コロナ以降は思うように調査を実施できない学校もあることから、年度末まで期間を延長して実施しており、令和4年度の調査も同様に行われました。
そこで今回は、子どもの健康状態の傾向について学校保健統計調査の結果を踏まえてご紹介します。
子どもの状態を知るために必要な調査
学校保健統計調査の代表的な調査項目は、子ども達の発育状態を把握するための身長と体重です。特に、体重の項目では肥満傾向や痩せ気味の子どもの割合も確認することができます。
また、その他にも全身的な健康状態を総合的にチェックするため、以下の項目が調査対象になっています。
- ・栄養状態(栄養不良や肥満気味などを判定)
- ・脊柱や四肢の状態(脊柱側弯症など学業に支障を来す異常の判定)
- ・裸眼視力(視力が1.0未満の両眼もしくは片眼のうち、低い方が判定値になる)
- ・目の病気や異常(感染性の病気や緑内障など)
- ・難聴(両耳が規定の音を聞き取れない場合は異常と判定)
- ・皮膚疾患(アトピー性皮膚炎など)
- ・歯や口腔(むし歯の有無や顎の発達など)
他にも、心臓や結核に対する調査項目もあり、細かく子どもの全身状態をチェックすることが可能です。
その分、実施する学校側や子ども達の負担も少なくありませんが、こうした細やかな統計調査の結果が、子どもの健康の問題点を把握することに繋がります。
視力低下や肥満傾向に注意を
今回、令和4年度の統計調査結果によると、裸眼視力が1.0未満の子どもの割合は年齢を上がるたびに高くなり、小学校で3割超え、中学校では約6割、高校で約7割という結果でした。いずれも前年度を上回っており、過去最悪を更新しています。
小学校でもタブレットで授業が行われるようになり、中学生や高校生はスマートフォンの長時間使用などが問題視されていることから、こうした背景によって裸眼視力の低下が引き起こされている可能性があると言えるでしょう。
また、標準体重よりも20%以上重い肥満傾向の子どもの割合は、5歳児以外の全ての学年で増加しました。割合としては、男女共に思春期を迎える小学校高学年で最も多いですが、全年齢的にコロナの影響による不規則な生活や運動不足が原因と考えられます。
今一度、タブレットやスマートフォンの使用時間や見る姿勢を気を付けると共に、お子さんの全身状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考URL
『文部科学省』
https://www.mext.go.jp/content/20231115-mxt_chousa01-000031879_1a.pdf
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/k_detail/1411711_00007.htm
『ヨミドクター』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20231129-OYT1T50155/?catname=news-kaisetsu_news
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子