生まれた時の体重が成人後の健康に影響!?~低出生体重児の場合~
日本では1980年代以降から低出生体重児が増加傾向にあります。たとえ生まれた時に低体重であったとしても、十分な医療環境があればその後の発育などに影響がでることは少ないため、最近では低出生体重児も珍しいことではありません。
一方で、子どもの頃の発育に問題がなかったとしても、低出生体重児の場合は成人後に病気を発症する可能性が高いという研究結果も報告されています。
そこで今回は、生まれた時の体重と成人後の健康の関係についてご紹介します。
増加がつづく低出生体重児と痩せた妊婦
低出生体重児とは、出生体重が2500ℊ未満の赤ちゃんのことを指します。従来は、「未熟児」と呼ばれたりもしていました。
日本における低出生体重児の割合は、1980年代までは全体の5.2%程度でしたが、その後は増加傾向が続き、2010年には9.6%に。それ以降も横這いの状態が続き、2019年の低出生体重児の割合は9.4%となっています。
こうした低出生体重児の増加の背景には、若い妊婦達の痩せ志向や、「小さく産んで大きく育てるべき」という風潮の影響が大きいです。
たしかに、妊婦の太りすぎは出産時のリスクや胎児の病気にもつながるため、避けるべきとされています。
しかし、痩せすぎによるリスクも存在するため、赤ちゃんの今と将来の健康を考えて、適切な体重管理をする必要があると言えるでしょう。
40歳以降は生活習慣病や心疾患の発症に注意を
国立成育研究センターでは、低出生体重児が成人した後に生活習慣病や心臓病のリスクが高いという海外の知見を検証するため、2011年~2016年にかけて約11万5000人を対象に、出生時の体重と成人後期に発症する生活習慣病のリスクに関する調査を実施しました。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが生まれた時の体重が3㎏以上の人にくらべると、低出生体重児の人は1.25倍、極低出生体重児(出生体重が1500ℊ未満)では1.75倍に高まることが分かりました。
また、糖尿病についても同じ傾向があるため、低出生体重児の人は糖尿病などの生活習慣病にもなりやすい可能性があることを念頭において、成人後の健康管理をする必要があります。
積極的に健診を受けたり、毎日の食生活に注意するなど、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3284
『厚生労働省』https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000592914.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子