アトピー性皮膚炎のサインと対処法について~子どもの肌を守るために~
アトピー性皮膚炎に悩む人は以前と比べて格段に増加しています。厚生労働省が2017年度に実施した調査では全国に約51万人のアトピー性皮膚炎患者がいることが分かっており、その内の約40%は20歳未満の子どもです。
患者数も多く認知度が高い病気ですが、一方で治療法やリスクが正しく認識されず、発見が遅れて病状が良くならないケースもあります。
そこで今回は、子どもの肌を守るために知っておきたい、アトピー性皮膚炎のサインと対処法についてご紹介します。
アトピー性皮膚炎はアレルギーマーチの始まり
アレルギーマーチとは、食物アレルギーやアレルギー性鼻炎、喘息などのアレルギー疾患が連鎖するように次々に発症することを指します。
そして、そのアレルギーマーチの入口がアトピー性皮膚炎です。
たとえば、食物アレルギーは食べ物が原因で起こりますが、アレルゲンは口からではなく皮膚から入り込むことによってアレルギーを発症することが分かっています。これを経皮感作と言い、乾燥や湿疹など皮膚のバリア機能が低下したところからアレルゲンが入りこんでしまうのです。
したがって、食物アレルギーの治療のためには、皮膚炎の治療も同時に必要だと考えられています。
根強いステロイドに対する悪印象
皮膚の炎症に対する治療にはステロイドが用いられますが、色素沈着や多毛などの副作用を心配して避ける患者も少なくありません。中には、見た目の炎症が治まるとステロイドの塗布をやめてしまう人も多いです。しかし、症状が良くなったように見えても皮膚の内部には炎症が残っています。
せっかくの治療を無駄にしないためにも、ステロイドや保湿剤は医師に指導された用法用量を守って根気よく塗り続けることが大切です。
また、薬を塗るときは次のようなポイントにも注意しましょう。
- ・軟膏やクリームは大人の人差し指の先端から第一関節までの長さ、ローションは1円玉大の量で、大人の両手のひら分の面積を塗る
- ・こすらず、優しく均一に肌にのせていくように塗る
- ・横方向に塗る
- ・塗った後に保湿剤が肌に残っているくらいの量が適量
2か月以上続く症状はアトピー性皮膚炎を疑って
アトピー性皮膚炎は他のアレルギー疾患の原因になるため、早期発見・早期治療が望ましいです。そのためには、親が子どもの肌の状態をチェックしておく必要があります。
しかし、特に乳児期はアトピー性皮膚炎を乳児湿疹と勘違いして、適切な治療を受けずに症状を悪化させてしまうケースが多いと言われています。
乳児湿疹は刺激の少ない洗剤で優しく肌を洗っている内に良くなりますが、アトピー性皮膚炎の場合は症状が長期化する点が特徴的です。
2か月以上炎症が続いたり、赤ちゃんが頻繁にかゆがる仕草をしたりする時はアトピー性皮膚炎を疑い、早めに小児科医に相談しましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3351
『厚生労働省 患者調査』https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003318621
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子