夏じゃなくてもプール熱⁉︎新年度に気をつけたい感染症
コロナが5類に移行して、まもなく1年になります。コロナ自体はワクチンや治療薬の開発により落ち着いていますが、流動人口の増加に伴い、感染症が季節関係なく流行しているというのが、この1年の特徴です。
そこで今回は、新年度も注意したいプール熱についてご紹介します。
症状は軽くてもプール熱は感染力が強い
プール熱とは、正式には咽頭結膜熱と言い、アデノウイルスを原因とする感染症です。
5〜7日間程度の潜伏期間の後、発熱や喉の痛み、頭痛などの症状を引き起こし、プール熱の特徴である眼の充血や目やにが数日続きます。
感染者の飛沫を吸い込んだり、飛沫が付いたタオルを共有したりすることでも感染が広がりますが、昔はプールの水を介して学級内で感染が拡大したことから、プール熱と呼ばれていました。
プール熱の原因であるアデノウイルスはもともと感染力が高く、咽頭結膜熱の他にも呼吸器感染症や胃腸炎を引き起こす厄介なウイルスです。
したがって、咽頭結膜熱も学校保健安全法ではインフルエンザと同じく学校感染症第2種に指定されています。
感染した場合は、「主要症状が消失した後2日を経過するまで」出席停止となるので注意しましょう。
石鹸による手洗いの徹底を
プール熱の患者数は例年5月ごろから増え始め、6~7月にピークを迎えた後に減少しています。
しかし、コロナが5類に移行した2023年の夏は、8月を過ぎても患者数が増え続け、10月末までに2倍以上に膨れ上がりました。
要因としては、人の流れの増加に加えてマスク着用や手指消毒などの感染対策意識が薄れてきたこと。さらに、アデノウイルスにはアルコール消毒が効かないことなどが、より一層感染拡大に拍車をかけたと考えられます。
プール熱を予防するためには石鹸による手洗いが第一ですが、他にも家庭内や施設内でタオルの共有を避ける、換気やマスク着用なども効果的です。
新たな気持ちで迎える新学期に病気に感染することがないよう、改めて注意してみてはいかがでしょうか。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3288
『学校保健安全法』https://www.gakkohoken.jp/files/special/images/special7/h04.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子