HPVワクチンは男性にも有効!?接種の必要性について
子宮頸がんを予防する効果があるとして、接種が推奨されているHPVワクチン。
日本では小学6年生から高校1年生までの女子を対象に公費による定期接種が実施されていますが、実はHPVワクチンは男性の接種も有効とされていることをご存知でしょうか?
そこで今回は、意外と知られていないHPVワクチンの効果と男性が接種する意義についてご紹介します。
子宮頸がんは女性にとって珍しくない病気
HPV(ヒトパピローマウイルス)とは、子宮頸がんや性感染症などを引き起こすウイルスで、多くの大人が生涯で一度は感染すると言われています。
子宮頸がんは、子宮の入口付近にあたる子宮頚部にできるがんです。性交渉により皮膚や粘膜にある細胞にHPVが感染することで発症しますが、感染したからと言って必ず子宮頸がんになるわけではありません。
しかし、現在の日本では毎年約1万人の20~40代の女性が子宮頸がんと診断されており、年間で約3,000人が亡くなっています。
さらに、子宮頸がんを発症すると、治療の過程で子宮を摘出したり、放射線治療をしたりする関係で、その後の人生で出産を望めなくなる可能性もあるため、女性の人生に大きな影響を与える病気です。
男性の接種が女性の命を守ることにつながる
子宮頸がんは女性の病気として広く知られていますが、原因となるHPVは子宮頸がん以外にもさまざまな病気を引き起こすウイルスです。
たとえば、中咽頭がんや肛門がん、陰茎がんや尖圭コンジローマなどの性感染症もHPVが原因で発症する病気で、その多くは男性にも関係しています。
特に、中咽頭がんは男性の罹患率が高く、男女ともに日本を含めて世界的に患者数が増えているがん疾患です。
実際、こうした病気を予防するため、オーストラリアやカナダでは男性のHPVワクチンの接種率が7割を超えており、日本では4価のHPVワクチンについては男性の接種が認められています。
男性の場合は接種費用が全額自己負担になるため、ハードルが高いかもしれませんが、性交渉前に接種すれば本人だけでなく女性への感染リスクを下げることにもつながります。
したがって、HPVワクチンについては接種者本人と保護者の方の正しい理解が大切だと言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』
https://medical.jiji.com/topics/3291
『国立がん研究センター』
https://www.ncc.go.jp/jp/icc/project/Cross-Organizational/factsheet/hpv_vaccine_leaflet.pdf
『みんパピ』
https://minpapi.jp/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子