温暖化が子どもの健康に影響!?~知っておきたいリスクと傾向~
最高気温が40度を超える酷暑日が増加の一途をたどる一方で、暖冬が指摘されるなど、地球温暖化に伴う気候変動は世界の人々にとって深刻な問題です。
温暖化の進行を食い止めるため、省エネ対策やカーボンニュートラルへの取り組みが推奨されていますが、温暖化が与える影響は気候変動にとどまりません。
最近では、温暖化による気温上昇が子どもの健康にも悪影響を与える可能性があることが分かってきました。
そこで今回は、温暖化が子どもの不調を引き起こすリスクについてご紹介します。
高い気温が気管支に刺激を与える
アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、気候変動が人々の健康に与える影響は、熱中症はもちろんのこと、喘息などの呼吸器疾患や感染症、メンタルヘルスにも及ぶと言われています。
実際に、日本の兵庫県姫路市で行われた調査では、夏の平均気温が1度上がると、その日の夜間救急外来を受診する、0~14歳までの小児患者の数が2割増加しました。
また、香港の調査では、平均気温が30度の日は27度の日にくらべると、喘息で入院するリスクが高まり、5~14歳の子どもの場合は約1.3倍という結果でした。
このように、気温上昇が喘息などの呼吸器疾患に影響を与える背景には、次のような要因が関与していると考えられます。
- ・高い気温にさらされることで、気管支のC繊維という知覚神経が刺激され、気管支が閉まる
- ・花粉やカビなどのアレルゲンが増える
寒暖差や冬の乾燥が喘息のリスクになることは知られていますが、夏場の高い気温にも注意が必要です。
脱水が早産の原因になり得る
気温が上昇すると、脱水にもなりやすいです。
そして、妊婦の方が脱水になると、子宮への血流が減少し、分娩が誘発されるため、早産を引き起こす可能性があります。
気温上昇は子どもだけでなく、大人の身体にも影響を与えるため、妊娠中の方は特に注意をしましょう。
しかし、そうは言っても、子どもは汗腺が未発達であり、熱への適応システムが未熟
であることから、大人よりも気温上昇の影響を受けやすいです。
熱中症はもちろんのこと、花粉やカビの少ないきれいな室内遊び場を確保する、夏場に身体が適応できるよう、早めの時期から外遊びをするなど、積極的な対策が必要だと言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3470
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子