自分に満足していない子どもが多い?〜自尊心が与える影響とは〜
最近の教育現場では、子どもの自己肯定感や自尊感情を高めるための取り組みが増えている傾向があります。それほどまでに、日本の子ども達の自己肯定感の低さが問題になっているとも言えますが、実際に自分に満足できないまま大人になることで、どのような弊害や影響があると考えられているのでしょうか?
そこで今回は、令和6年版こども白書の結果を踏まえながら、子ども達の現状と自尊心(自己肯定感)が与える影響についてご紹介します。
日本独自の価値観も自尊心に影響
2024年版「こども白書」によると、日本の13~29歳の若者が「自分自身に満足しているか」との質問に対して「そう思う」と答えた割合は57.4%で、アメリカやドイツなどの他の4か国にくらべて14ポイント以上低い結果となりました。
この結果の背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、日本の文化では謙遜や自己抑制が美徳とされる傾向が強く、子どもたちは自分を誇示することを避けるように育てられることが多いです。このような文化的背景が、自己評価を低く保つ要因の一つとなっている可能性があります。
また、日本の教育システムは競争が激しく、成績や成果に対するプレッシャーが大きいことも、子ども達の自分への満足度を低くする要因の一つです。多くの子どもたちは、親や教師からの高い期待に応えるために努力しますが、目標達成が難しい場合には自己評価が低下しやすくなります。
こうした文化的背景や教育環境、親の期待などが折り重なって、今の子ども達の現状に影響していると言えるでしょう。
親の評価は子どもの自己評価につながっている
日本の子どもたちの自己肯定感が低い背景には、親の評価も影響しています。1993年の文部省の調査では、10~12歳の子どもを持つ親が「子どもの成長に満足している」と答えた割合はアメリカ、イギリス、スウェーデンでは8割を超えるのに対し、日本では4割に満たない結果でした。このように、親の評価が子どもたちの自己評価に影響を与えていると推測できます。
自己評価は年齢によっても変わりますが、自己肯定感が低い状態が続いてしまうと、自分の能力に対する信頼が持てず、目標に対して積極的に取り組む意欲が減少することも少なくありません。
具体的には、自己肯定感が低い子どもは学習意欲や社会活動への参加が低下し、結果的に学業成績や社会適応に悪影響を及ぼす可能性があります。
子どもとの生活を振り返るきっかけに
諸外国にくらべると日本の子どもの自己肯定感は低いですが、前回の調査時とくらべると数値は改善しており、満足度の向上には家庭生活や学校生活、地域とのつながりや友人関係といった幅広い対象に対する満足度も影響していると考えられています。
もちろん、今回の調査結果が全ての家庭に当てはまるわけではありませんが、子どもとの関わり方を改めて見つめ直し、子どもを取り巻く環境について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか?
参考URL
『時事メディカル』
https://medical.jiji.com/news/59070
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子