気候変動が早産に影響!?子どもの健康被害にも注意を
気候変動が年々深刻化する中、その影響は私たちの健康にも及んでいます。特に、妊娠中の母親とその子どもへの影響は見逃せません。早産の増加や子どもの運動機能、言語や社会性の発達遅れなどが懸念されており、これらは気候変動による極端な気温変化に起因することが多いと考えられています。
そこで今回は、気候変動が妊娠や子どもの健康に与えるリスクについてご紹介します。
気候変動と早産リスク
妊娠期間は一般的に40週とされ、37週未満の出産が早産とされます。早産の原因は胎児と母体の両方にあると考えられており、子宮内感染や多胎妊娠、高齢出産や子宮の病気などが主なリスクになり得ます。
しかし、東京医科歯科大の研究グループが、2011~2020年に生まれた新生児約190万人を対象に、妊娠期間と気温との関係を調査したところ、妊娠中に猛暑や極寒など極端な気候にさらされると、赤ちゃんが早く生まれやすくなることが分かりました。
具体的には、出産数週間前の1日の平均気温が低いほど、早産リスクが高い傾向が見られました。具体的には、平均気温が0.8度の場合、早産リスクは基準より15%高かったのです。また、気温が高い場合も同様に早産リスクが上昇し、平均気温が30.2度では8%上昇しました。このように、気温の極端な変化が早産に与える影響は無視できないものだと言えるでしょう。
猛暑による子どもの健康リスク
近年は、温暖化の影響による猛暑や酷暑が問題視されていますが、このように極端に高い気温は子どもにとって特に危険です。子どもは大人にくらべると基礎代謝が未発達であり、急激な気候の変化に対応しにくいため、気温の変化を受けやすいとされています。さらに、地面からの反射熱も受けやすく、発汗機能が未発達なことから、猛暑による熱中症のリスクが高まります。
一方で、こうした熱中症のリスクを回避するため、室内で遊ぶ子どもが増えていますが、外遊びの機会が減少すると、運動機能やコミュニケーション能力の発達に影響が出る可能性というのも問題です。
さらに、日本アレルギー学会の「喘息予防・管理ガイドライン」によると、気温や気圧の変化、雷雨、黄砂などは喘息の悪化につながるとされています。
気候変動が子どもの健康を損なうという認識は一般的にはまだ浸透していませんが、影響は想像以上に大きく、今後さらに深刻化する可能性があることを理解しておきましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3417
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子