トゥレット症はどんな病気?〜症状や治療のポイント〜
トゥレット症とは、奇声を発したり、首を振ったりする行為を無意識に繰り返す病気です。
幼少期に発症し、徐々に症状が強くなる場合があるため、周囲の目が気になって悩む保護者の方も少なくありません。
そこで今回は、トゥレット症の特徴や治療の考え方についてご紹介します。
トゥレット症の症状と発症メカニズム
トゥレット症の主な症状には、「運動チック」と「音声チック」の二種類があります。運動チックは、まばたきを繰り返したり、首を頻繁にかしげたりするもので、自分自身を叩いたり物を投げたりすることもあるため、集団生活の場において指摘を受けることもあるでしょう。
一方、音声チックは喉を鳴らしたり、その場と無関係に暴言を吐くことです。子どもの約1%がこの症状を持つと推定されており、4~6歳で発症し、10~12歳前後で最も症状が強くなることが多いです。
トゥレット症の発症原因は、完全には解明されていません。ただ、発達の過程で脳内の神経伝達がアンバランスになることが関与していると考えられており、中でも脳で運動を司る部位や感覚情報を処理する部位に不具合があるとされています。
治療と周囲の支援がカギになる
トゥレット症の治療には、児童精神科などでの診療と適切な薬物療法が有効です。薬物療法により神経伝達が調整され、症状が和らぐことが期待できます。
また、薬物療法と並行して症状をコントロールするための工夫も重要です。
「チックが出てはいけない」と強く思い過ぎると、かえって症状が悪化することがあります。
したがって、学校や社会で生活できるよう、医師や心理学の専門職、ソーシャルワーカーなどと連携して子ども達を包括的に支援することが大切です。
このように周囲の支援があることで、患者の3分の2は若年成人になるまでに症状が軽減、もしくは消失することが多いとされています。
トゥレット症の子どもを持つ保護者の方の多くは、自分を責めたり動揺したりしてしまいがちです。
しかし、親の気持ちは子どもに影響を与えやすいため、自分を責めて1人で抱え込むのではなく、症状が悪化しないような対策と、症状が出てもできることを一緒に考えて乗り越えることが求められます。そして、何よりも周囲が病気のことを正しく理解して、本人と家族が安心できる環境を作ることが大切だと言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3435
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子