ボール投げの記録が大幅低下~現代っ子の運動について~
スポーツ庁が発表した2023年度の体力・運動能力調査によると、調査を開始した1964年度とくらべて、現代っ子の体力が著しく低下していることが明らかになりました。
そこで今回は、子ども達の運動能力の現状とその背景について解説します。
体格が向上した一方で運動能力・体力は低下
スポーツ庁が実施する体力・運動能力調査では6~79歳の約5万9000人を対象に、握力や上体起こし、50m走やボール投げなどのデータを集めて得点化しています。2023年度は調査開始からちょうど60回目にあたることもあり、スポーツ庁は今年度の10歳男女の50m走や反復幅跳びなど複数の種目の記録を、1964年度と1993年度の記録と比較しました。
その結果、中でもボール投げの男子の記録低下が著しく、1964年度には30mを超えていた平均値が、2023年度では21m90cmにまで落ち込んでいます。
また、50m走については、30年前の1993年度が速く、それ以降は体力低下傾向が目立つという結果です。
一方で、身長と反復横跳びについては今回の記録が高かったため、現代っ子は昔の子どもとくらべて体格は良いものの、体力や運動能力が低下している傾向があることが分かりました。
子どもの体力低下をもたらす要因
子どもの体力や運動能力が低下している背景には、次のようなことが考えられます。
(1)意識の変化
60年前とくらべると、保護者を始めとした社会全体の意識が大きく変化し、体力よりも学力や知識が評価されやすい時代になったことが、子どもにも影響していると言えます。
学習塾や習い事の比重が高まり、その結果、外遊びで積極的に体を鍛える機会が減ってしまったことは、少なからず子ども達に影響を与えていると考えられます。
(2)子どもを取り巻く環境の変化
科学技術や経済の大きな発展により、生活様式はここ数十年で大きく変化しました。たとえば、自動車の普及や新たな電化製品の開発など、生活が便利になる一方、体を動かす機会は減少したと言えます。
また、デジタルデバイスの普及により、スクリーンタイムが増加したことも、子どもの運動不足と体力低下に大きく影響を与えていると言えるでしょう。
このように、さまざまな要因により現代の子ども達の体力は、祖父祖母世代とくらべると大きく低下傾向にあります。今の生活様式をいきなり変えることは難しいですが、現状を理解した上で、運動時間を増やしたり、生活習慣を見直したりしてみてはいかがでしょうか?
参考URL
『ヨミドクター』
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20241013-OYT1T50162/?catname=haishin_shakai
『スポーツ庁』
https://www.mext.go.jp/sports/content/20240115-spt_sseisaku02-000032954_11.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子