小中学生の骨密度が低下!?深刻化する子どものロコモについて
コロナにより外出したり学校で運動したりする機会が減ったことで、子ども達の体力が低下傾向にあることは、ここ数年大きな問題になっています。しかし、低下しているのは体力だけではありません。
そこで今回は、子どもの骨密度の変化について研究した和歌山大学の報告と共に、子どものロコモについてご紹介します。
ロコモは子どもの将来にも影響する
ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、骨や筋肉といった身体を動かすために必要な運動器に障害が起こり、移動機能が低下した状態を言います。ロコモが進行すると、将来的に要介護になるリスクが高まる可能性があることから、人生を健康な状態で楽しむためには、ロコモを防ぐことが大切です。
以前は、ロコモと言えば高齢者が対象と考えられていました。しかし、最近では筋力・筋量低下に伴い、子ども達のロコモの増加が懸念されています。
子どものロコモの定義については明確化されていませんが、2021年から子どもロコモ健診を行っている和歌山県立医科大学整形外科学講座とかつらぎ町教育委員会では、次の4項目のうち1つでも当てはまればロコモの可能性があるとしています。
- ①身体を曲げたり反らしたりすると、腰に痛みを感じる
- ②片脚立ちの状態を5秒以上キープできない
- ③足の裏を完全に床につけた状態でしゃがめない
- ④肩や肘関節の可動域に制限がある
ストレッチから始めるロコモ予防
ロコモを招く代表的な要因として、運動不足が挙げられます。特に、コロナ禍の自粛生活をきっかけに外遊びや運動をしなくなり、慢性的に運動不足になっている子どもは少なくありません。
このように幼少期に十分な運動をせずに成長すると、空間認知能力の獲得が不完全になったり、身体能力が低下したりといった弊害が起こる可能性があります。
また、筋力だけでなく骨量も低下したことで、骨折する子どもが増えているという懸念もあります。
実際に、第26回日本骨粗鬆症学会では、「小児の19.1%で骨密度が低下しており、その要因の一つとして子どものロコモが考えられる」という和歌山県立医科大学の研究結果が報告されました。
いきなり運動の時間を増やすことは難しいかもしれませんが、太もも裏のハムストリング筋の柔軟性を高めるだけでもロコモ予防に効果があると言われています。
まずは、家族でストレッチの時間を作るところから始めてみてはいかがでしょうか?
参考URL
『メディカルトリビューン』
https://medical-tribune.co.jp/news/articles/?blogid=7&entryid=564909
『かつだぎ町教育委員会』
https://www.town.katsuragi.wakayama.jp/020/070/files/suisinnjkeikakuan.pdf
『Jpn J Rehabil Med』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/8/58_58.925/_pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子