増える不登校~コーディネーターの配置に期待~
コロナ禍以降、不登校の子どもが増加しており、その支援が社会的な課題となっています。不登校の理由は、子どもによってさまざまです。学業や人間関係、家庭環境など複雑な要因が絡み合っていることから、こうした状況を打破するための「不登校コーディネーター」の配置が注目されています。
そこで今回は、子どもの不登校の実態と不登校コーディネーターに期待できることについて解説します。
子どもの不登校の現状
小中学生の不登校は、コロナ禍の21年度をきっかけに急増していましたが、コロナが明けた現在も増加が続いています。実際に、文部科学省が毎年、全国の国公私立小中高校と特別支援学校を対象に実施する「問題行動・不登校調査」によると、2023年度における不登校の小中学生の数は過去最多の34万6284人でした。
小学生が前年度から24%増加して13万370人、中学生は前年度から11.4%増加して21万6112人と、どちらも11年連続で増加の一途をたどっています。また、同時に小中高校が認知したいじめの件数も、過去最多の73万2568件となっており、いじめが不登校に大きな影響を与えていることが分かります。
小中高校が認知したいじめの内容としては、「冷やかし」「からかい」「悪口」「脅し文句」などが58.7%と最も大きい割合を占めていました。一方で、パソコンやスマホなどのデジタルデバイスを介した「ネットいじめ」も2万4678件と過去最多であり、SNSでの悪口や画像の拡散などによる被害を受けて苦しんでいる子どもも多いです。
コーディネーターが子どもと社会をつなぐ架け橋に
増加する不登校の背景には、いじめだけでなく、コロナ禍で崩れた生活リズムを立て直せない、無理して学校に行かせなくても良いという意識の広がりなど、さまざまな要因が重なっています。
しかし、長引く不登校は、子どもの学業や将来に影響を与えるだけでなく、最悪の場合は自殺を引き起こす可能性も少なくありません。
そこで、こうした不登校の現状を改善するため、子ども家庭庁では2025年度から子どもや保護者からの相談を受けて、関係機関につなぐ役割を果たす不登校専門のコーディネーターを配置するとしています。
地域一体で不登校の子どもを支援する体制を整えるため、まずは約20の自治体でモデル事業に取り組む予定です。細かな支援内容は自治体によって異なりますが、フリースクールと連携した生活習慣や人間関係の形成、通所送迎支援など、子どもが社会とつながりを持つための支援が想定されています。
コーディネーターの配置により、子ども本人や保護者の方の負担と不安が少しでも軽減されること、そして、なによりも不登校の原因となるいじめを起こさないための環境作りが望まれます。
参考URL
『ヨミドクター』
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20241031-OYT1T50146/?catname=news-kaisetsu_news
『時事メディカル』
https://medical.jiji.com/news/59488#google_vignette
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子