5歳児も健診が必要⁉︎〜全国実施に踏み切る理由とは〜
自治体で実施が義務付けられている子どもの健診といえば、1歳半と3歳児健診が一般的です。それぞれ、発達や成長の状況を把握し、先天的な疾患を早期発見するために行われています。
しかし、中には1歳半と3歳時に加えて5歳のタイミングで健診を行っている自治体もあるのをご存知でしょうか?
そこで今回は、5歳児健診の概要と全国実施を目指す理由についてご紹介します。
1歳半と3歳児健診のポイント
1歳半は、乳児から幼児への転換期とも言える時期です。身体的安定の進展に伴い、身体機能や精神発達も大きく変化するため、健診では次のような項目をチェックします。
- ・歩行
- ・微細運動(積み木が積めるか、など)
- ・意味のある単語を発するか、理解できているか
- ・コミュニケーションを取る相手とアイコンタクトが取れるか
- ・相手の動作を真似するか
3歳になると、個人差はありますが、言葉で思いを伝えたり、日常生活でも自分でできることが増えたりします。
したがって、子どもの障害や発達の遅れをより早期に発見し、進行を予防したり、適切な治療を開始したりすることが、3歳児検診の狙いです。
また、どちらの健診も育児相談や情報提供が受けられるため、保護者の方の悩みや孤立を解消する機会にもなります。
より早期に発達障害の有無を発見する
現在、母子保健法により、1歳半と3歳の健診が義務付けられている一方で、5歳児健診の実施は自治体の任意となっています。実際に、2022年度における5歳児検診の全国実施率は14.1%でした。
5歳児健診を行わない場合、3歳児健診から小学校入学前の就学前健診までは3年程度の空白ができることになります。
そして、もし就学前健診で発達障害などが指摘されたとしても、進路選びや学校側の支援体制の構築のための時間が足りないという事態が起こり得ます。
実際に、2022年度に自閉症などによって特別支援学級に通う子どもの数は約13万人にのぼっており、就学前健診で障害が発見される可能性がないとは言えない状況です。
したがって、こども家庭庁では、来年度から5歳児健診の普及に乗り出し、2028年度までに実施率を100%にすることを目指しています。
健診は子どもの健康状態が把握できる一方で、保護者の方にとっては「何か問題があったらどうしよう」という不安も大きいでしょう。
しかし、もし何か指摘があったとしても、より適切な治療を早期に始めることは、子どものその後の成長と健康に大きく影響を与えます。
今後の行政の取り組みを期待しつつ、各年齢に必要な健診をしっかりと受けるようにしましょう。
参考URL
『ヨミドクター』
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20241120-OYT1T50075/?catname=haishin_shakai
『5歳児健診ポータル』
https://gosaiji-kenshin.com/report/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子