子どもの5人に1人がネット依存~いまだ根強いコロナの影響とは~
コロナによる自粛生活がきっかけで、ネット依存が疑われる子どもの数が増えています。以前は、コロナ禍のみの一時的な現象かと思われていましたが、従来の生活スタイルに戻ってからも、その影響は色濃く残っているようです。
そこで今回は、子どものネット依存と家庭での解決の糸口についてご紹介します。
コロナがきっかけでネット依存の子どもが急激に増加
国立成育医療研究センターが2020年5月、コロナによる休校措置後の子ども約2600人に実施したアンケート調査によると、小中学生の7割以上、高校生の66%でテレビやスマホを見たりゲームをしたりする時間が増加していました。
さらに、兵庫県立大学が大阪府の小中高生2万人を対象にしたアンケート調査では、ネット依存が疑われる子どもの割合は、すべての年代で増加するという結果に。特に、高校生の割合は、コロナ拡大前の2019年で15.6%だったのに対し、コロナ下の2020年には27.5%と深刻な増加を示しています。
インターネット依存は、SNSでの情報交換や画像の閲覧、ゲームなどに過剰にのめり込むことで、日常生活に支障をきたす状態です。しかし、本人は依存に気付かず、最終的には学校や家族などの社会との関わりよりもネットを優先し、不登校になる可能性もあります。
コロナ以降も続くネット依存
国立成育医療研究センターでは、コロナ感染症拡大下だけでなく、制限解除後の生活における子どものネット依存の状況を把握すべく、小学5年生~高校2年生とその保護者を対象に、2020~2023年まで毎年調査を行っています。
その結果、ネット依存が強く疑われる子どもの割合は、22年が17.2%、23年が19.8%と制限解除後も減少するわけではなく、むしろ微増していました。
同時に、ネット依存と関連するとされる中等度以上のうつ症状が見られる子どもの割合は、21年が11.4%であったのに対し、22年と23年は2年続けて13.3%と改善が見られていません。
このように、コロナ以降も子どものネット依存問題は深刻であり、保護者や周囲の大人が兆候に早く気付いてあげることが大切です。
子どもの話を「聴く」ことがネット依存のリスクを減らす
子どもがネットに依存する原因はいくつかありますが、精神的な不安や家族間でのコミュニケーション不足もその中に含まれます。
一方で、保護者や学校の先生にしっかりと自分の気持ちを聴いてもらえた、と感じる子どもは、話を聴いてもらえない子どもよりもQOLが高くなりやすいという調査結果もあります。
したがって、家族間のコミュニケーションを増やして子どもの不安を取り除き、QOLを高めることは、ネット依存のリスクを減らす有効な手段と言えるでしょう。
「うちの子は大丈夫」「スマホは生活に不可欠だから依存は仕方ない」と思わず、改めてお子様と向き合ってコミュニケーションを取る時間を大切にしてみてはいかがでしょうか?
参考URL
『時事メディカル』
https://medical.jiji.com/topics/3619
『国立成育医療研究センター』
https://www.ncchd.go.jp/press/2024/0729.html
https://www.ncchd.go.jp/press/2024/1031.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子