増加するマイコプラズマ肺炎~夏休み明けにも注意を~
マイコプラズマ肺炎の患者数が、8年ぶりに増加しています。国立感染症研究所のデータによれば、8月12日~18日の1週間で、1医療機関あたり平均1.3人の患者が報告されており、7週連続で増加が続いている状態です。
そこで今回は、子どもも感染しやすいマイコプラズマ肺炎について解説します。
マイコプラズマ肺炎の特徴と治療法
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することで発症する呼吸器感染症です。主に幼児から10代の子どもに多く見られ、一般的な肺炎とは異なり潜伏期間が2~3週間と長く、発症後には発熱や倦怠感、頭痛が現れ、数日後にはせきが出始めます。せきは、熱が下がった後も3~4週間続くことが多く、長引く点がマイコプラズマ肺炎の特徴です。
また、肺以外の部分にも下痢や発疹などの症状が現れることがあります。これらの症状から「歩く肺炎」とも呼ばれ、元気な患者が比較的多い点も特徴の一つです。
治療としては、マクロライド系抗菌薬が第一選択薬として使用されますが、薬剤耐性が見られる場合は他の抗菌薬が処方されることもあります。
感染拡大の要因と予防
2023年5月に新型コロナウイルスが感染症法上で5類に位置づけられて以降、感染予防策が緩和されたことで、多くの感染症が再び流行する傾向が見られます。特にマイコプラズマ肺炎は、新型コロナの影響で抗体を獲得する機会が減ったことから、夏場にもかかわらず患者数が増加しています。
夏休み明けには、さらに感染が拡大する可能性がありますが、新型コロナウイルスやインフルエンザほど感染力が強くないため、基本的な予防策を徹底することが重要です。
マイコプラズマ肺炎の感染経路は、飛沫感染と接触感染です。手洗いやマスクの着用といった基本的な対策を講じることで、感染の拡大を防ぐことが期待されます。特に、学校や保育施設、家庭内での感染伝播が懸念されるため、改めて感染対策を徹底しましょう。
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- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子