注意したい冬の呼吸器感染症とは?
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本格的な冬を迎え、全国的にインフルエンザの流行が拡大しています。コロナウイルス感染症も同じく流行期を迎えてはいますが、現在はインフルエンザの勢いが強いため、影をひそめている状態です。一方で、中国ではヒトメタニューモウイルスの感染が確認されるなど、今冬もさまざまな感染症の流行が予想されます。
そこで今回は、子どもも感染リスクのある冬の呼吸器感染症について解説します。
インフルエンザへの免疫低下が流行拡大の原因に
今シーズンのインフルエンザは、2024年の11月頃から流行期に入り、患者数が徐々に増加。12月末には患者の定点報告数が64.4人と過去最多を記録するなど、その勢いが伺えます。年末年始は休診していた医療機関も多かったため、年明けの調査では患者数が一時減少しましたが、依然として流行が続いている状況です。
こうしたインフルエンザの急激な拡大を受けて、医療機関は慢性的に大混雑するとともに、学級閉鎖や企業の欠勤者が増えるなど社会生活にも大きな影響を与えています。
今回、インフルエンザがこれだけ爆発的に流行した背景には、インフルエンザの型が関係しています。インフルエンザウイルスには、コロナウイルスと同様いくつかの種類があり、今シーズン流行しているのは、A(H1N1)型と呼ばれるタイプです。
この型は以前も流行したことがあるのですが、前回の拡大は2019~2020年の冬で、5シーズンぶりの流行になります。その間に、私たちのH1N1型に対する免疫が低下してしまったため、今冬は多くの患者が発生していると考えられます。
昔から存在するヒトメタニューモウイルス
中国で流行しているヒトメタニューモウイルスは、耳慣れない名前ですが、気管支炎や肺炎を引き起こす昔から存在する馴染みのあるウイルスです。
子どもの呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%程度はヒトメタニューモウイルスが原因と考えられています。症状は、発熱や咳、鼻水など風邪症状と変わりませんが、喘息のような症状を引き起こしたり、子どもや高齢者は肺炎を発症する可能性もあるため、注意が必要です。
ただ、コロナウイルスのように、重症化により死亡するケースは少ないため、感染しても焦らずに、医師の指示にしたがって対症療法を行いましょう。
基本の感染対策で身を守ろう
今冬のコロナウイルスの感染者数は、インフルエンザよりも一桁少ないため目立ってはいませんが、依然として去年と同様の感染者数が記録されています。
さらに、例年通りであれば、1月末~2月にかけて流行のピークを迎えることから、今後も引き続き注意が必要です。
これらの呼吸器感染症は、基本的な手指消毒とマスクの着用で予防することができます。受験や卒業式など年度末に向かって大切な行事も多い時期です。家族や身の回りの人の健康を守るためにも、基本的な感染対策を心掛けましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/column4/220
MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子