嘔吐を繰り返す周期性嘔吐症とは〜感染性胃腸炎との違いについて〜
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冬場はノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行する時期ということもあり、子どもの嘔吐や下痢に悩まされる保護者の方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、胃腸炎と似たような症状を引き起こす、「周期性嘔吐症」についてご紹介します。
5歳前後に発症しやすい周期性嘔吐症とは
周期性嘔吐症は、数時間から数日間に激しい嘔吐を繰り返す病気です。症状の程度や嘔吐の頻度は患者によってさまざまで、1週間に1回だけ吐いてしまう場合もあれば、1時間に6回続けて吐き、その状態が何日か続く場合もあります。
2〜10歳程度の子どもに多く、群馬県桐生市のひきた小児科クリニックの調査によると、発症年齢は5歳前後が多いという結果でした。
発症後は2〜5年程度で自然に軽快します。しかし、重症化すると体重が減って元気がなくなったり、片頭痛に悩まされたりと日常生活に影響が出る恐れがあるため、まずは周期性嘔吐症の可能性に気付いてあげることが大切です。
周期性嘔吐症の原因はさまざま
感染性胃腸炎とは異なり、周期性嘔吐症の原因は明確にはなっていません。
ただし、精神的ストレスや緊張、感染症、疲労によって食事の摂取量が落ちたことで、体に蓄えた栄養分を使い果たしてしまうことが発症の主な原因と考えられています。
人間の体内では、糖を使い果たすと脂肪を分解してエネルギーにしようとします。この時に生じるアセトンという物質が増えすぎると、アセトン血性嘔吐症、すなわち周期性嘔吐症を引き起こすと指摘されています。
正しい診断で適切な治療を
周期性嘔吐症の症状としては、数時間もしくは数日の間に激しい噴水のような嘔吐を繰り返すことが最も大きな特徴です。嘔吐をした後もすっきりせず、ぐったりして顔面が蒼白になり、口臭がリンゴの発酵したようなアセトン臭になる点も感染性胃腸炎とは違う点と言えます。
ただし、嘔吐に付随して発熱や下痢などの症状が出ることもあり、感染性胃腸炎との鑑別は難しいです。
したがって、過去に同じような嘔吐が何回あったか、尿や血液中のケトン体は正常かなど複合的に医療機関で検査を受けた上で、必要に応じて薬物治療をしながら自然治癒を目指します。
いつか治るとは言っても、何度も繰り返す嘔吐は子どもにとっても見守る親にとってもつらいことです。気になる症状がある場合は、近くの小児科に相談してみてはいかがでしょうか?
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3650
『ドクターズファイル』https://doctorsfile.jp/medication/5/
MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子