麻疹風疹ワクチンが不足!?就学前の接種ができない可能性も

麻疹風疹ワクチン、いわゆるMRワクチンが不足する事態が発生しています。メーカーの出荷停止が主な理由ですが、第二期にあたる就学前の接種のための駆け込み需要と時期が重なることもあり、接種率の低下が懸念されています。
そこで今回は、MRワクチンの必要性と今後の対応について解説します。
麻疹風疹は似ているけれど違う病気
MRワクチンは、麻疹(はしか)と風疹を予防するためのワクチンです。麻疹と風疹は混同されがちですが、両者には次のような違いがあります。
麻疹 | 風疹 | |
---|---|---|
原因 | 麻疹ウイルス | 風疹ウイルス |
感染経路 | 空気感染、飛沫感染、接触感染 | 飛沫感染 |
症状 | 発熱や鼻水、咳など 2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱とともに発疹が出現する |
発熱や発疹、リンパ節の腫れ 大人の方が重症化しやすい |
発疹の状態 | 耳や首の後ろから始まり、全身に広がる 最初は鮮紅色で平らな発疹で徐々に隆起する |
小さい細やかな薄紅色の丘疹が全身に広がる |
妊娠への影響 | 直接的な影響はない | 妊娠20週までに感染すると、先天性風疹症候群の子どもが生まれる可能性がある |
どちらも子どもだけでなく、大人もかかる可能性があるため、MRワクチンは成人の接種も推奨されています。
MRワクチンの接種時期
MRワクチンは国によって接種時期が定められている定期接種のワクチンです。したがって、決められた期間内に接種すれば公費負担になるため、自己負担なく接種することができます。
具体的には、1歳で接種する「第Ⅰ期」と就学前の1年間に接種する「第Ⅱ期」がありますが、1回目と2回目の期間が空いているため、2回目の接種を忘れてしまうケースも少なくありません。
そのため、入学前に学校側から接種の有無を確認されて未接種に気が付き、急いで予約を取るご家庭が多いことから、2月3月は全国的に駆け込み需要が予想されます。
現場では供給不足に
今回のMRワクチン不足は、2024年の11月に製造元である武田薬品工業株式会社が品質確認のための出荷停止を行ったことが原因です。
同年12月には、他のメーカーがワクチンの出荷を前倒しをすることで、予想されるワクチンの需要に備える方針を厚生労働省が打ち出していましたが、日本小児科医会の調査によると希望した量のワクチンを入手できない医療機関は5割に上っています。
ただ、現時点では厚生労働省による定期接種時期の延長などの対応策は発表されていません。
新規予約を制限している医療機関もあるため、接種を希望する場合は、かかりつけ医だけでなく近隣の小児科に問い合わせるなどの対応が必要です。
参考URL
『ヨミドクター』
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20250226-OYT1T50110/?catname=news-kaisetsu_news
『厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/content/001352011.pdf
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index.html
MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子