不安障害にはどんな種類があるの?~発達障害との違いについて〜

不安障害は、著名人や芸能人が公表するようになったこともあり、最近になって認知度が高まっている傾向がありますが、一方で他の発達障害や精神疾患と混同されている部分もあります。
そこで今回は、子どもも発症する可能性がある不安障害と不登校の関連、そして、他の発達障害との違いについてご紹介します。
不安障害はいくつも併存しやすい
不安障害は、精神的な不安から、心だけでなく体にも様々な不快な変化が起こる病気です。大勢の人の前で話したり、大切な試験の際に緊張や不安でドキドキすること自体は、おかしいことではありません。しかし、その緊張や不安が過度になって日常生活に支障が出るほどになると、不安障害の可能性があります。
不安障害は単独の病気ではなく、次のようにさまざまな種類があります。
- ・パニック障害
- ・社会不安障害(社会不安症)
- ・強迫性障害
- ・全般性不安障害
- ・現局性不安症
- ・心的外傷後ストレス障害
- ・選択制緘黙(かんもく)
これらは単独で発症することの方が少なく、多くの場合は複数の障害が重なって出現するとされています。
実際、488人の不安障害を持つ子ども達を対象にした調査によると、約60%の子どもは複数のタイプの不安障害を同時に持っていることが分かっています。
さらに、不安障害は注意欠陥・多動性障害や自閉症スペクトラム障害、学習障害といった発達障害とも併存する確率が高いため、そうした背景も相まって、不安障害の発見と治療介入が遅れてしまう傾向にある点も注意が必要です。
早期発見・早期治療が寛解につながる
不安障害は治療が可能です。しかし、4年間の追跡調査によると、治療を受けた患者のうち安定した寛解状態を維持できたのは21.7%で、48%は改善と再発を繰り返し、30%は慢性的な症状が続いているという結果でした。
さらに、初期の治療に良好な反応を示した患者の方が、症状が慢性化するリスクが低かったことも分かっているため、不安障害は早期発見と早期治療が重要だとされています。
一方で、不安障害を発症すると、行動面や身体面にも変化が起こることが多いため、お子さまに次のような症状がないかをチェックして、不安障害の早期発見につなげる方法もおすすめです。
- (1)行動面の変化
- ・楽しんでいた部活動や習い事を急にやめたがる
- ・友達からの誘いを断り続ける
- ・完璧主義が強まって、間違えることへの恐怖から課題などができなくなる
- (2)感情面の変化
- ・イライラが増えて攻撃的な態度が目立つ
- (3)身体面の変化
- ・頭痛や腹痛、吐き気などの症状
- ・月曜の朝や学校行事の前日に症状が出やすい
- ・休日や長期休みには症状が和らぐ
もちろん、不安障害に関する最終的な判断は専門家が行います。しかし、できるだけ早い段階で症状に気が付き、治療を始めることができれば、学業や友人関係への影響、そして、不登校やうつなどへの二次的な問題を防ぐことにもつながるため、まずはご家庭でのチェックをしてみましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/column5/338
『厚生労働省』https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子