増える木の実アレルギー~カシューナッツの注意点~

食物アレルギーを有する人の数は増加傾向にありますが、中でも木の実のアレルギーが増えています。
木の実は種類が豊富で鑑別が難しいこともあり、どれがアレルゲンの対象なのか、どれとどれが同じ種類になるのか、など分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、木の実アレルギーの概要とカシューナッツの注意点についてご紹介します。
ナッツ類による食物アレルギーが増加傾向
食物アレルギーと言えば、鶏卵や小麦、牛乳の3大食材と知られています。そこに続いて、魚卵や甲殻類などがアレルギー症状を引き起こしやすいとされており、えびやカニも消費者庁が義務づけている特定原材料に含まれています。
しかし、最近はナッツ類をアレルゲンとする食物アレルギーも急激に増加していることから、令和5年3月には特定原材料の品目にくるみが追加されました。
令和7年4月1日時点での特定原材料の品目は以下の通りです。
- 特定原材料
- えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
カシューナッツが品目に追加
木の実は菓子類に使用されることも多く、刻んでいたり、つぶされたりしていると、見た目では気付かないことも少なくありません。健康志向の高まりも相まって、積極的にナッツ類を食べる機会も増えています。
しかし、摂取した子どもが重篤な症状に陥った事例も報告されており、くるみやピーナッツ以外の木の実にも注意が必要です。
実際に、消費者庁が2023年に実施した食物アレルギーの健康被害実態調査では、アレルゲンとなる食べ物のうち、木の実類は24.6%を占めており、鶏卵に次いで2番目に多いという結果でした。
そこで、消費者庁は、2025年度中にアレルギー表示が義務付けられる食品の対象に、木の実の中の「カシューナッツ」を加える方針です。
カシューナッツは、3~17歳がアレルギーを発症する原因となる食品の上位であり、症例件数が急激に増加しているため、今回表示が義務付けられることになりました。
また、同じように木の実類のピスタチオも症例数の増加が見られており、アレルギー表示が推奨される品目に新たに加わる予定です。
表示に注意してアレルギーの有無のチェックを
木の実は、種類を混同してしまったり、小さく砕かれていて見た目で気づかなかったりと、誤って摂取してしまうリスクがあります。小さい子どもは特に気付かない可能性があるため、食品のアレルギー表示には注意しましょう。そして、木の実類を初めて食べる場合は、病院が空いている日中に摂取して、アレルギー反応が現れた場合は速やかに病院を受診することが大切です。
参考URL
『ヨミドクター』
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20250311-OYT1T50102/?catname=news-kaisetsu_news
MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子