医療現場で子どもに寄り添う専門職~CLSへの期待~
早く病気を治してあげたいのに、子どもを連れて病院へ行くと、白衣を見ただけで泣き叫んでしまったり、治療を受けようとせず困った経験のある親御さんは多いのではないでしょうか?
そんな中、こうした医療現場における子どもの不安に寄り添って心のケアを行う専門職、CLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)が全国の医療機関に配置されつつあります。
そこで今回は、CLSの役割と共に、子ども達の病気と成長に与える影響などについてご紹介します。
CLSとは?
大人であれば自分の病気や治療についてある程度理解はできますが、子どもは認知的にも情緒的にも発達途中であるため、説明しても大人とは異なる方法で物事を受け止めています。
その結果、大きな不安を抱えて受け身になってしまい、スムーズに治療が進まないということもよくあることです。
CLSは、子どもが病院で感じる不安を少しでも小さくして、子ども達自身が主体的に医療に参加して乗り越えていけるよう、他の医療スタッフと連携しながらサポートする専門職です。
例えば、痛みを伴うため多くの子どもが嫌う採血検査の必要性や意味を、人形遊びを交えて疑似体験させることで、患者である子ども自身に主体的に理解してもらうといった取り込みをしています。
CLSは心のケアの専門職
CLSは大学や大学院で心理学・教育学・家族学など、医療における子どもとその家族に対する社会的支援について学び、教育と医療両方の現場で実習を受けたスペシャリストです。
だからこそ、病気やケガと戦う子ども本人はもちろんのこと、不安を抱えている家族もしっかりと寄り添うことができます。
その結果、全員が治療に対して正しく理解をし、医療スタッフと共に前向きな姿勢で「病気や障害に立ち向かう」環境を作り上げることができるので、入院期間の短縮や鎮痛剤使用量の削減にも繋がると言われています。
CLSへの期待
多くの子ども病院や小児治療を行う病院では、入院患者に対してCLS介入していますが、今後は外来診療や救急搬送された家族に付き添ってきた子どもの精神的ケアについても、CLSによるサポートが期待されています。
現在は全国の病院30施設以上でCLSが配置されていますが、病気と戦う子どもと家族の精神的な負担が少しでも軽減し、前向きな治療を受けることができるよう、CLSの認知度が更に高って普及することが望まれます。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/1477
『チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会』http://childlifespecialist.jp/?page_id=47
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子