- 監修:管理栄養士 磯村優貴恵
1歳の食事の量や必要な栄養素・メニュー・食べさせ方のコツ
1歳児の食事で悩んだら…管理栄養士からのアドバイス
1歳児の食事の特徴とは?
産まれてから約半年で離乳食を開始しますが、その後の流れは大きく分けて以下の4ステップになります。
●STEP1:5~6カ月⇒ごっくん期(離乳食初期)・1日1回食
今まで母乳やミルクのみで過ごしてきた赤ちゃんにとって、固形物をのどに送るということは一大イベントでもあります。舌や唇を使うことはまだ上手にできないため、「ごっくん」と上手に飲み込むことができるよう、滑らかにすりつぶしたものをひとさじずつ与えます。
●STEP2:7~8ヵ月⇒モグモグ期(離乳食中期)・1日2回食
ごっくん期と比べると、舌や上あごを使えるようになるため、柔らかいものであれば押しつぶして食べることができます。口に入れてから飲み込むまでに口を動かすため、モグモグしているように見えます。
●STEP3:9~11カ月⇒カミカミ期(離乳食後期)・1日3回食
モグモグ期よりひとつステップアップして歯茎でつぶせる(奥の歯茎ですりつぶすことができる)かたさのものを食べられるようになります。
●STEP4:1歳~1歳半⇒パクパク期(離乳食完了期)・1日3回食
歯茎でつぶせる→噛むことができるようになります。前歯で噛んで大きさを調整したり、ひと口の量を覚えたりと本格的に「食べる」という行為に近づいてきます。
1歳というのはちょうど離乳食が完了して幼児食に移行する大切な時期でもあります。それは歯の成長からも読み取れます。
生後6カ月頃から歯が生えはじめ、上下の歯が徐々に生えそろってきます。1歳~1歳半で第1乳臼歯(奥歯)が生えはじめ、2歳半で上下10本ずつ、計20本の歯が生えそろいます。
奥歯が生えると食べられるものが増えますが、まだまだ歯の面積が小さいために食材の固さや大きさをケアすることが重要です。
必要な栄養素は?
「栄養素」といっても細かく見ていくととても種類が多く、どれが何に含まれているかを毎回考えていると大変な作業となってしまいます。
しかし、1歳児に必要な栄養素は大きく3つに分けて考えることができます。
①エネルギー源となるもの
私たちの身体は、心臓を動かすのも、おしゃべりするのも何をするにもエネルギーが必要となります。もちろん1歳児も同じです。毎日元気に活動してスクスクと成長するためには基本となるエネルギー源を十分に補給しましょう。
主なエネルギー源はいわゆる「炭水化物」「脂質」を多く含むものですが、ごはんやパン、麺類やイモ類、油やバターなどが含まれます。
献立として考える場合は「主食」となります。
②体のもととなるもの
筋肉やお肌、髪の毛や爪に至るまで体のもととなる栄養素は「たんぱく質」です。たんぱく質は肉や魚、卵や豆類、乳製品などに多く含まれます。
献立を考える際には「メインのおかず(主菜)」に分類されます。
③体の調子を整えるもの
育ち盛りのこの時期は代謝が活発であると同時にまだまだ免疫力が十分に備わっていません。そのため風邪を引いたり体調がすぐれないときにお腹を下してしまったりと日々様々な出来事に遭遇します。
丈夫な身体作りのためにも日々、体の調子を整えることが重要な要素となりますが、そのために必要なのが「ビタミンやミネラル」です。
ビタミンやミネラルは野菜(緑黄色野菜と淡色野菜)、果物、きのこ類や海藻類に多く含まれています。特に野菜は種類によって味や食感が大きく異なるので、好き嫌いも出てきやすく、しっかり食べてもらうために工夫が必要です。
献立にしたときには汁物の中身や小鉢、メインのおかずの付け合わせなど「副菜」に分類されます。
どんなメニューがオススメ?
1歳~1歳半の離乳食完了期には上記の「エネルギー源となるもの」「体のもととなるもの」「体の調子を整えるもの」の3つを組み合わせて摂ることが基本となります。
毎食完璧に揃えることは理想ではありますが、あわただしい毎日に加えて子どもの機嫌によって食欲にムラがあったりと難しいこともあると思いますので、3日間で調整を行うようにしましょう。
中でも特に不足しやすいのが「鉄」です。
鉄といえばレバーや牡蠣などクセの強い食材を思い浮かべがちですが、それ以外にも赤身の肉や赤身の魚、小松菜や高野豆腐などにも含まれます。
肉や魚、高野豆腐は「体のもととなるもの」のたんぱく源として取り入れられますし、小松菜は「体の調子を整えるもの」として取り入れられます。そのため、鉄を意識して摂ることは重要ですが、何よりも上記の3つのポイントを抑えることで自然と整ってくるのです。
器ごとに役割を決めよう
また、メニューを考える際に役立つのが「器」です。ひとつの器ですべてを賄おうとすると大変ですが、「エネルギー源となるもの」「体のもととなるもの」「体の調子を整えるもの」をそれぞれ分けて考えると自然とバランスの整った献立となります。
和食と洋食で献立の例をご紹介します。
1)和食の献立
「エネルギー源となるもの」・・・ごはん(軟飯)
「体のもととなるもの」・・・お豆腐入りハンバーグ
「体の調子を整えるもの」・・・ブロッコリーの白和え
この3つを柱として、ごはんに細かく切ったひじきを混ぜたり、ハンバーグにすりおろしたにんじんを加えたり、白和えにかぼちゃを加えたりと少しプラスをしたり差し替えたりするだけでメニューのバリエーションがぐっと広がり、様々な食材から栄養を摂ることが可能となります。
2)洋食の献立
「エネルギー源となるもの」・・・フルーツサンド
「体のもととなるもの」・・・ささ身のチーズ焼き
「体の調子を整えるもの」・・・ラタトゥイユ
こちらも果物をイチゴやバナナなど季節の食べやすいものに変更したり、チーズ焼きに芋類を加える、ラタトゥイユに苦手な野菜をひとつ加えてみる、など、アレンジは自在です。
生鮮食品はもちろんですが、最近では冷凍食品も種類が豊富にあり、品質も高いので上手に活用しましょう。ミックスベジタブルは色味も綺麗で大きさも食べやすいため使いやすいでしょう。
その他にもかぼちゃやほうれん草などは冷凍を使うことで下ごしらえの手間が省けるためお料理を作る人の負担も減り、少量ずつ使いたいときに使えるので便利な食材です。
旬の食材をシンプルに薄味で楽しむことを第一に考えましょう。
上手に食べさせるコツとは?
子どもが好き嫌いをする理由は単純に味が嫌いだからだけではありません。「好き嫌い」をする原因は様々で、大きく分けて3つあります。
①経験
まだまだ食経験が浅い乳幼児にとっては一つひとつの経験がとても大きいものとなります。
一度も食べたことのないものに対して、嫌悪感を抱く「食わず嫌い」を克服するためには、好きな食材と組み合わせる、いつもの食事にほんの少しだけプラスしてみるなど、急激に環境が変わり過ぎないように注意が必要です。また、食と関連して良い思い出や逆に嫌な思い出があるとそれも好き嫌いの原因となります。
②食具
離乳食完了期~幼児期に移行する時期になると、手先も器用に動かせるようになってくるため、食具があっているか、というのも好き嫌いの原因になります。
大切なのは「食べ物を上手に口に運べているか」ということです。
食材によってスプーンとフォークを使い分けたり、2歳頃になると状況によってはお箸を使ったりすることもあるでしょう。もちろん、手づかみで食べるものもあると良いでしょう。
子どもの成長に合わせた食事内容にするとともに現状で「何ができるか」「何に興味を示しているか」ということに注目し、食具の見直しも行いましょう。
③食材と食感
同じ食材でも食べるメニューと食べないメニューがあるという場合は「食感」を見直してみましょう。
例えばひき肉は炒めすぎると水分が飛んでパサパサになり、子どもにとっては味ではなく、食感が気に入らずに嫌いになってしまうことがあります。その場合はスープにしたり、あんかけにしたりすることで食感が滑らかになり食べやすくなります。
ちょっとした工夫で子どもの好き嫌いを改善できることもありますので、毎日の食環境を整えてあげることから始めてみましょう。
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管理栄養士磯村優貴恵 プロフィール
大手ダイエット専門のエステサロンにて、食事指導を通してお客様の体を内側・外側の両面からサポート。 その後、和食やカフェのキッチンスタッフとして約3年間の料理修行を行う。特定保健指導を経て、現在は、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。 資格:管理栄養士、フードコーディネーター、薬膳インストラクター、健康食育ジュニアマスター
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※本コーナーは医師、管理栄養士、保育士など各分野の専門家に監修をいただいております。ただし、幼児期の発達・発育状態、心理状態には個人差がございますので、全てのお子様への該当を保証するものではございません。
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