2歳の発達障害の症状をチェック・遅れの特徴、診断方法は?
「2歳児」の気になる発達状態について
“魔の2歳児”
2歳の子どもは、こんな風に言われることがあります。第一次反抗期を迎えた子どもは、イヤイヤ期に象徴されるように、自我が強くなるのが特徴です。
この時期は、保育園やプレ幼稚園に入園したり、児童館や公園遊びを本格化するタイミングでもあります。つまり、はじめてお友達との関わりや集団生活に入るのです。親御様も、自分の子どもが他人のなかでどう振る舞うのかを確認できるようになります。
「あれ? うちの子、他の子と違うみたい」「え? うちの子変わってる?」と、我が子に何か障害があるのではないかと心配をすることもあるでしょう。場合によっては、他の親の目線や噂で我が子の異変に気がついたり、園から専門機関の受診を進められるケースもあります。
今回は、2歳児の発達障害の基礎知識についてまとめたいと思います。
“発達障害”ってなに?
発達障害をもつ子どもは、一般的にコミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手と言われています。このため、昔は、発達障害をもった子どもは「困った子」「自分勝手な子」と誤解されていました。しつけがされていないなどと言われ、十分な理解が得られていなかったのです。
その後、脳科学が発展し、発達障害は先天的な脳機能の障害であることが明らかにされました。さらに詳しく研究が進むなかで、発達障害は個人によって症状が少しずつ違うことがわかり、現在では多くの専門的な障害名が付けられています。
発達障害の代表的なものが「自閉症」。みなさんも一度は耳にしたことがあると思います。さらに、「アスペルガー症候群」や「広汎性発達障害」、「LD」といわれる「学習障害」、「AD・HD」と略されることが多い「注意欠陥多動性障害」と多様です。
それぞれの関係性は複雑ですので、政府が出している次の資料をもとに確認してみましょう。
代表的な発達障害の理解図
出典:内閣府広報オンライン
広汎性発達障害・自閉症・アスペルガー症候群
この理解図は、発達障害がわかりやすく分類されています。これにそって、代表的な発達障害を確認していきます。
● 広汎性発達障害とは…
コミュニケーションをとる力や社会性をつかさどる脳の障害です。広汎性発達障害には、自閉症とアスペルガー症候群が含まれます。
広汎性発達障害だと診断された場合は、自閉症やアスペルガー症候群の傾向もあるということを理解しておきましょう。
●自閉症とは…
自閉症は、コミュニケーションの困難や対人関係のとりにくさ、社会性の欠如、言葉の発達の遅れ、パターン化した行動や一定のことにこだわるという特徴があります。最近では、自閉症スペクトラムと言われることもあるようです。
●アスペルガー症候群とは…
自閉症に含まれる種類のひとつです。コミュニケーションの困難、対人関係や社会性の障害、興味や関心の偏り、パターン化した行動などがあります。自閉症と違うのは、言葉の発達の遅れが伴わないことです。そのため、障害が分かりにくいのですが、成長するにしたがって不器用さが目立ってくることが多いようです。
注意欠陥多動性障害(AD・HD)
注意欠陥多動性障害は、ADやHDと呼ばれています。様々なことに集中できない、注意不足が目立つ、じっとしていられない(多動)、だまっていられない(多弁)、衝動的に行動してしまう(考えるより先に動く)などを特徴する発達障害です。
学習障害(LD)
学習障害はLDと呼ばれ、近年注目されています。全般的に、知的発達には遅れがみられません。ただし、読む、書く、計算するを筆頭に、聞く、話す、推論するなどの特定の能力を使うことに著しい困難を示す障害です。
以上の障害は、ある特有の症状があるからといって単純に決めつけられるものではありません。障害が複数重なって現われることもありますし、年齢や障害の程度、生活環境によっても違ってくることをおさえておきましょう。
2歳児の発達障害、どうやって気づくの?
一般的に、発達障害をもつ子どもは、コミュニケーションをとるのが苦手で、社会性を身につけるのが困難です。
このような子どもが集団生活を送る場合、多くの問題に直面することになります。周囲に障害を理解されずに、不適切な対応を受け続けると本人も家族もつらい思いをすることになります。そのため、親や周りの人が障害に気づき、障害の早期発見をすることが効果的であると言われています。
ただ、ここで注意が必要です。今回お伝えしている2歳児の場合は、体も心もまだまだ成長段階です。月齢によって発達度合も大きく違うため、発達障害と判断するのは専門家でも難しいといえます。情報や知識をもっている親御様ほど、「うちの子、大丈夫かしら?」と心配になりがちですが、まずは焦らずに経過を見守ることが大切です。
そうはいっても気になる!という方は多いので、参考までに発達障害をもつ2歳児の子どもに見られる傾向をお伝えします。
2歳児の子どもに見られる傾向(参考)
- ・ひとりで遊ぶことが多い(ママなどに相手を求めない)
- ・視線を合わせたがらない(声をかけても視線を合わせない)
- ・指さしをしない(指さしでやってほしいことを要求してこない)
- ・人見知りをしない
- ・触れられることを嫌がる(抱っこしてものけぞる)
- ・偏食(決まったものしか食べない)
- ・言葉の発達が遅い
- ・音に敏感である
- ・歩き出しが遅い
※あくまでも参考としてご覧ください。
どこで診断してもらえるの?
2歳児は、成長の度合いが子どもそれぞれに違い、発達にかなり差がある年齢です。一人で遊ぶことが好きだから…といって、即座に発達障害の可能性があるわけではありません。
まずは、焦りすぎずに、落ち着いてお子様の様子をみていきましょう。 それでも診断が必要だという場合は、次の専門機関に相談することをおススメします。
●自治体の専門機関
各自治体には、子どもの発達障害を診断する機関が設置されています。名称は自治体により違いますが、“ケアセンター”や“子ども支援センター”などがあります。また“児童相談所”も発達障害の相談ができる専門機関です。“保健所”や“療育(りょういく)センター”で行っていることも多いので、気になる場合は、まずは自治体に問い合わせてみましょう。
●医療機関
精神科や心療科などが思いつくかもしれませんが、これは大人向けの機関です。子どもの場合は、“児童精神科”や“小児神経科”が一般的です。どこにあるんだろう? と思う方が大半だと思います。
日本小児神経学会では、発達障害に対応している医師のリストを公開しています。こちらで調べてみてもよいかもしれません。
http://child-neuro-jp.org/visitor/sisetu2/hssi.html
さいごに
発達障害だったらどうしよう!? と焦る親御様の気持ちはわかります。お子様を心から愛しているからこその心配だと思います。
しかし、お子様はまだ2歳! 昨日と今日では、気分も体調も全然違うという毎日でしょう。
2歳児は成長も人それぞれ、まだまだ未熟なところが多いということを大前提に、お子様との時間を大切に過ごしながら様子をみていってくださいね!
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※本コーナーは医師、管理栄養士、保育士など各分野の専門家に監修をいただいております。ただし、幼児期の発達・発育状態、心理状態には個人差がございますので、全てのお子様への該当を保証するものではございません。
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